薬の副作用による「転倒」に要注意

高齢者の健康で、もっとも大事なことは「自分の身は自分で守る」ということです。「コロナ禍だから、高齢者はなるべく外に出ないように」と言われて、そのとおりにしていたら、要介護になるのは目に見えています。

「老害と言われるかもしれないから外出するのをやめよう」と考える人もいます。しかし、そこで外に出るのをやめたら、自分にどんな被害が及ぶのか。そういうことを、よく考えておくべきではないかと思います。

例えば、高齢者が免許返納をすると、6年後には要介護率が2.2倍に上がります。そういうことも考えて、運転を続けるのか、それとも免許返納すべきか考えるということです。

自分の身を自分で守るために、とても大事なことがあります。それは、医者が出す薬を警戒するということです。

最近でこそ、厚労省も「多剤併用」を問題にするようになりましたが、基本的に医者は何か症状があると薬をどんどん出します。血圧が高ければ血圧の薬、血糖値が高ければ糖尿病の薬、コレステロールが高ければコレステロールの薬を出します。

そのため、高齢者は毎日服用する薬が10〜15種類という人も少なくありません。

薬には当然、副作用があります。薬の飲みすぎで頭がぼんやりすることもあるので、多剤併用していると、足元がふらついて転倒し、骨を折るリスクがあります。転倒したときの骨折がきっかけで、寝たきりの原因になという「悲劇」も珍しくないのです。

和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表