年を重ねると、思うように体が動かなくなったり物覚えが悪くなったりと、程度は違えど誰しも「老い」を実感するものです。しかしなかには、自分でも気づかないうちに“自ら老いるように過ごしている人”も少なくありません。高齢者が“老化のドツボ”にハマらないためにはどうすればいいのか、東大卒の医師で『老害の壁』(エクスナレッジ)の著者・和田秀樹氏が解説します。
老化予防、じつは“超カンタン”!?…健康で長生きしたいなら「医者を信じてはいけない」ワケ【東大卒医師・和田秀樹の見解】
薬の副作用による「転倒」に要注意
高齢者の健康で、もっとも大事なことは「自分の身は自分で守る」ということです。「コロナ禍だから、高齢者はなるべく外に出ないように」と言われて、そのとおりにしていたら、要介護になるのは目に見えています。
「老害と言われるかもしれないから外出するのをやめよう」と考える人もいます。しかし、そこで外に出るのをやめたら、自分にどんな被害が及ぶのか。そういうことを、よく考えておくべきではないかと思います。
例えば、高齢者が免許返納をすると、6年後には要介護率が2.2倍に上がります。そういうことも考えて、運転を続けるのか、それとも免許返納すべきか考えるということです。
自分の身を自分で守るために、とても大事なことがあります。それは、医者が出す薬を警戒するということです。
最近でこそ、厚労省も「多剤併用」を問題にするようになりましたが、基本的に医者は何か症状があると薬をどんどん出します。血圧が高ければ血圧の薬、血糖値が高ければ糖尿病の薬、コレステロールが高ければコレステロールの薬を出します。
そのため、高齢者は毎日服用する薬が10〜15種類という人も少なくありません。
薬には当然、副作用があります。薬の飲みすぎで頭がぼんやりすることもあるので、多剤併用していると、足元がふらついて転倒し、骨を折るリスクがあります。転倒したときの骨折がきっかけで、寝たきりの原因になという「悲劇」も珍しくないのです。
和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表