恋愛をするとき、趣味が同じかどうかを重視する人は多いでしょう。共通の趣味がない人とは、結婚してもうまく行かないと考えてしまいがちです。しかし実際は、趣味や見た目よりも大切な“条件”があるそうで……。本記事では、ハーバード大学とグーグルで行動科学を研究したローガン・ウリー氏の著書『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)より一部を抜粋・再編集し、長続きしやすい相手の特徴について解説します。
生涯の伴侶に「共通の趣味」は必要ない…“いつまでも仲良しなカップル”の意外な特徴【ハーバード・Googleの行動科学研究者が解説】
思っている以上に大切なこと
クライアントの話を聞いていると、「情緒の安定した人を見つけることが第一目標」と言う人はほとんどいません。「難しい決断をくだせる人」を望む声もめったに聞きません。「優しさ」を挙げる人はいますが、たいていの場合、期待する最低(あるいは最高)身長を語ったあとです。
しかしそれらは、人間関係学者が、見た目の特徴や共通の趣味よりも、長期的な関係の成功に寄与すると発見した資質の例なのです。
それらの資質の重要性が知られていないわけではありませんが、恋愛対象を決めるとき、これらの資質の価値が過小評価される傾向にあります(その理由の一つは、これらの資質は測定しがたいからです。いっしょにときを過ごして初めて気づくかもしれません。だからマッチングアプリは、測定しやすく、思っているほど重要でない特徴に重点をおいているのです。)
生涯の伴侶を見つけたい人は、次のような資質に目を向けましょう。
情緒の安定と優しさ
著書『The Science of Happily Ever After』の中で、タイ・タシロは何がパートナー選びに重要なのか、既存の研究成果を調べました。
その結果、情緒の安定と優しさがもっとも重要でありながら過小評価されている特徴であることがわかりました。情緒の安定とは、自己制御力をもち、怒りや衝動に流されないこととタシロは定義します。情緒が安定した組み合わせのカップルは、互いに満足し、安定した関係を築くことが予測されるのです。
また、タシロは2017年のTEDトークで「優しいパートナーは最高です。かれらは寛大で、共感的で、あなたの支えになりたいと思うのです」と述べました。優しさと情緒の安定をそなえた人は、気遣いと思いやりをもってパートナーに接することができますが、それこそ、長期的な関係の成功の鍵だとゴットマン夫妻の研究で指摘されています。
その人がどれだけ優しいのか知るには、見返りを求めない相手への接し方に注意してみてください。彼・彼女はウェイターに親切にしていますか? 地下鉄で席をゆずるでしょうか? 職場の新人が要領を飲み込むのを辛抱強く待っていますか? 友人や両親に思いやりのある態度で接しているでしょうか?
情緒の安定性を測るには、ストレスの多い状況への対処方法に注意してみましょう。パニック状態になるのか、冷静さを保つのか? 情緒の安定した人は落ち着いて対応します。衝動的な反射ではなく、時間をかけて考えて対応します。
このことをクライアントに説明するとき、私はホロコーストを生き延びた著名な精神科医、ヴィクトール・フランクルの言葉を引用します。「刺激と反応のあいだに空間がある。その空間の中に、自分の対応を選ぶ力がある。自分の対応の中に、成長と自由がある。」情緒的に安定した人は、その空間を活用するのです。
ローガン・ウリー
恋愛コーチ兼マッチングアプリ研究ディレクター