恋愛に苦しんでいるのはあなただけではありません。あなたが抱えている疑問や不安は、いたって普通のことです。しかし、脳の強みと弱みについて客観的に分析すれば、もっと戦略的な意思決定を行うことができるのかもしれません。本記事では、ハーバード大学とグーグルで行動科学を研究したローガン・ウリー氏の著書『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)より一部を抜粋・再編集し、人間の非合理性について解説します。
ハーバードの大学生が「ポルノ」を大量に見る、深い理由【ハーバード・Googleの行動科学研究者が解説】
いまだかつてなく非合理
テック業界で10年近く過ごしたのち、仕事を辞めた私は、人々が愛を見つけ恋愛を長続きさせる手伝いを始めました。意志決定における本能的な間違いがつまずきの原因のはず。人々が行動を変え、負のバターンから脱却し、永続的な愛を見つけるには、行動科学が鍵となると私は確信しています。
パートナー選びはただでさえ恐ろしくやっかいなものであるのに、そこに文化的な偏見や余計なアドバイス、社会や家族からのプレッシャーが加わるとさらに大変になります。それなのに、行動科学を恋愛に役立たせようとする人はこれまでいませんでした。
その理由は、愛とは、科学的な分析などできない、魔法のような現象であると考えているからかもしれません。あるいは、「誰も理性的な愛など求めていない」という批判を恐れているからでしょうか。
私が目指すのはそういうものではありません。なにも、マッチングの可能性をすべて分析し、運命の相手の最適解をはき出す、超合理的なスーパーコンピューターに人々を仕立てあげようとしているわけではありません。愛を見つける障害となっている盲点を克服できるよう手伝いたいのです。
行動変容には二つのステップが必要です。第一に、私たちの行動をつかさどる見えない力と、致命的な間違いに発展する判断ミスについて学ぶこと。
「もっといい人がいるのでは」と真剣交際に及び腰になったり、人生のパートナーよりも一夜限りの相手を追いかけてしまったり、はたまた、賞味期限切れの関係をぐずぐず引きずってしまったり、といった間違いについて、振り返ってみましょう。
しかし、気づくだけでは行動にはつながりません(「ワルい男」や「夢のようなエキセントリックな女の子」と付き合うべきではないとわかっていても、つい惹かれてしまうもの)。実際に何かしら行動を起こさなければならないのです。
そこで行動科学の二つ目のステップが登場します。実証済みのテクニックで、「わかる」から「実行する」に移行しましょう。行動を変え、目標を達成するための新しいシステムを構築する必要があるのです。
ローガン・ウリー
恋愛コーチ兼マッチングアプリ研究ディレクター