結論!私たちは「非合理な生き物」

残念ながら多くの人間は、なぜその選択肢を選ぶのか、判断の理由を理解していません。それが過ちを生み、その過ちの積み重ねが愛の探求を阻みます。だからこそ、行動科学に助けてもらいましょう。行動科学とは、人間がどのように決断をくだすのかを研究する学問です。幾重もの思考の層をはぎとり、頭の中をのぞき込み、なぜ私たちは特定の選択をしがちなのかを理解する方法を教えてくれます。

結論から言うと、人間とは非合理だということ。私たちのくだす決断は、最善ではないことがよくあるのです

人間の非合理さは人生のあらゆる場面で発揮されます。老後のために貯蓄したいと言いつつも、クレジットカードの限度額いっぱい、おしゃれなインテリア用品を買ってしまうとき。もっと運動しなきゃ、と思っているのに、屋内用ランニングマシンがハンガーラック状態になっているとき。どれだけ頻繁に、どれだけ熱心に目標を設定しても、自分で自分の邪魔をしてしまうのです。

さいわい、この非合理さは無秩序に現れるものではありません。脳がいかに私たちを惑わすかは予測可能なのです。行動科学者はそのような知識を用いて、人々が幸せに、健康に、豊かになれるよう、行動を変える手伝いをします。

実際、私は行動科学の知識をグーグルで活用しました。行動科学の花形、ダン・アリエリーとチームを組み、彼の著書『Predictably Irrational』[訳注:邦訳『予想どおりに不合理』早川書房]の知見にもとづいて、「イラショ非合理実験室)」というグーグル社内のグループを運営しました。

ダンやチームメイトと人間の行動を研究し、実験を重ねる日々は非常に充実していましたが、私には気がかりなことが一つありました。当時、私は20代前半で独身。誰もがもつ、人生の最重要課題に直面していたのです。つまり、愛を見つけ、長続きさせるにはどうすればいいのだろうか?