東大卒の医師で『老害の壁』(エクスナレッジ)の著者・和田秀樹氏は、「高齢者は持っているお金をすべて使いきって、後は生活保護を受給すればよい」と主張します。日本にはびこる「働かざる者、食うべからず」という言葉への誤解と、偏見や批判の多い「生活保護」に対する和田氏の見解をみていきましょう。
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老後は働く必要ナシ!多くの日本人が誤解している「働かざる者、食うべからず」の“ほんとうの意味”【東大卒医師・和田秀樹の見解】
長生きして生活保護をもらうのは当然の権利
どんどんお金を使いなさいと言うと、「なくなったらどうするの?」といった不安を抱える人もいるでしょう。今の時代、90歳まで生きるという想定でお金を使っていっても、もっと長生きするかもしれません。
でも、仮に貯金をすべて使い果たしたとしても、生活保護があります。「生活保護なんて」と思うかもしれませんが、これまで税金をいっぱい払ってきたのですから、長生きして生活保護を受給するのは当然の権利です。
税金というのは、欧米、特にヨーロッパの感覚だと、若いときに払った分を返してもらうものです。払った以上、元を取らなければなりません。だから、教育費は無料にしてください、医療費も無料にしてください。それがヨーロッパの人たちの税金に対する考え方です。
ところが日本では、これまで働いて税金を払ってきた人が生活保護を受けるようになったら、もうコテンパンに叩かれます。
それでいて、国民の半数以上が反対する元首相の国葬に総額12億4,000万円も使うなど、国民の血税が偉い人たちの好きなように使われています。
それはもはや税金ではなく、封建時代の年貢と変わりません。農民から年貢を絞れるだけ絞って、大名は納められた年貢を好き放題に使っている。今の日本の税金はそんな封建時代の年貢と変わっていません。
だったら、生活保護のように、もらう権利のあるお金はもらいましょう。実際は、年金をもらっている人は、生活保護費の満額から年金を差し引いた分をもらうわけですから、実際に生活保護費としてもらうのは、数万円にすぎません。決して「人様のお金で食わせてもらっている」などと卑屈になる必要はないのです。
極論になりますが、私は持っているお金をすべて使いきって、後は生活保護を受給すればよいと言っています。
その理由は、消費不況の世の中では、生産しないで消費だけする人が一番ありがたい存在だからです。年金暮らしはもちろん、生活保護を受けていても、消費者の1人である高齢者は大手を振って生きるべきだと思います。
和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表