ビットコインに次ぐ時価総額2位の座をキープしており、「ビットコインの次はコレがくるのでは」と期待を寄せる投資家も多いのが「イーサリアム」です。2024年5月、米SECより現物ETFが承認されたことで最高値を更新し、一層注目度がアップしています。ここでは松嶋真倫氏の著書『暗号資産をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)より、今だからこそ知っておきたいイーサリアムの仕組みや開発計画などについて解説します。
ビットコインに次ぐ〈時価総額2位〉、ロシアの“若き天才”が開発した「イーサリアム」が注目されるワケ【マネックス証券アナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

イーサリアムの開発計画と技術改善

イーサリアムは、もともとビットコインと同じコンピュータ計算によって取引検証を行うプルーフ・オブ・ワーク(PoW)という仕組みを採用していましたが、2022年に資産の保有量に基づいて確率的に取引検証を行うプルーフ・オブ・ステーク(PoS)という仕組みへ移行しました。このアップデートによって検証にかかるコストが小さくなり、取引の処理性能が向上すると期待されています。

 

他にも「シャーディング」という取引の並列処理の仕組みも導入する予定です。これは検証者を複数のグループに分けて取引を分担して処理することで、ネットワークの負荷を減らします。創設者のヴィタリック・ブテリンはシャーディングの導入を含めてさらに4段階のアップデートを構想しており、最終的には秒間で10万件の取引を処理できるようになると述べています。

 

イーサリアムでは本体のブロックチェーンを拡張するだけではなく、「レイヤー2」と呼ばれる、本体以外のところで取引を効率的に処理するような仕組みも導入が進んでいます。たとえば、イーサリアムの本体以外で複数の取引を処理し、結果だけをまとめて本体に記録する技術があります。これによりイーサリアム本体では1000円以上かかる手数料が、レイヤー2を利用すれば100円以下の手数料に抑えられたりします。

 

このように、イーサリアムは複雑な取引にも耐えられるように様々な方法で技術改善を図っています。

 

 

松嶋 真倫
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ
暗号資産アナリスト