毎年、約7万人が自己破産…原因1位は「生活苦・低所得」だが
裁判所『令和5年司法統計年報(民事・行政編)』によると、2023年、裁判所で新しく扱った破産事件は7万8,215件。そのうち、7万0,589件が個人の自己破産でした。過去5年の破産事件の推移をみていくと、7万~8万件で推移。その9割が個人の自己破産で、毎年6万~7万人にのぼります。
【破産事件数の推移】
2019年:8万0,202件
2020年:7万8,104件
2021年:7万3,457件
2022年:7万0,602件
2023年:7万8,215件
自己破産は、借金を返済できなくなってしまった人が裁判所に申立てを行なうことで、一般的に破産手続きといわれているものは、「破産」の手続きと「免責」の手続きに分かれます。「破産」は財産を処分して債権者に配当すること、それでもなお借金が残ってしまった場合は、借金を免除=免責してもらいます。
自己破産の主なメリットは「借金の支払いが免除される」「99万円以下の現金や20万円以下の預貯金など、裁判所で定める一定基準の財産を残すことができる」の2つ。一方で「財産を処分する必要がある」「クレジットカードやローンを5年以上利用できなくなる」「官報に公告される」「職業・資格に制限がかかる」といったデメリットがあります。また税金や社会保険料、罰金、科料など、免責されない借金もあります。
日本弁護士連合会が行った『2020年 破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、借金を負った原因として最も多かったのは「生活苦・低所得」で61.69%。「病気・医療費」23.31%、「負債の返済(保証以外)」20.48%、「失業・転職」17.58%、「事業資金」16.13%、「生活用品の購入」14.76%と続きます。また平均負債額は1,449万9,580円でした。
やはり、低収入などの理由から生活が苦しく、借金を重ねてしまうケースが多くみられますが、なかには安泰のイメージがある人たちが借金を重ね、自己破産に至るケースも。
弁護士に自己破産の相談にきたという40代夫婦のケースもそう。共に小学校の教師だというふたりは、世間からは破産からほど遠いとイメージされる夫婦ではないでしょうか。