島津さんが転職に成功した理由を深堀

長年培った経験知…実績づくりで転職を有利に

島津さんの転職前の状況を、「今ある姿」と「ありたい姿」で確認してみます。

・今ある姿

中規模企業の広報室長。もうすぐ役職定年を迎えるため、給料が半減する。

部下も持てなくなる予定なので、これまでは自分の部下が担当していた雑用も含め仕事が増え、やりがいのある仕事ができなくなり、給料も減るという三重苦。

・ありたい姿

小さな規模の会社でもいいので、社内報や地域への発信などを任せてもらえる企業を希望。部下はいなくても、他の事務職のパートの方々に手伝ってもらいながら、やりがいのある仕事を手がけたい。

「今ある姿→ありたい姿」分析で、ご自分が譲れなかった条件が、転職によって見事解決していることがわかります。

また、島津さんが手がけた業務の実績が「わかりやすい形や記録」になっていたため、その実績が、転職する際に効果的な「PRツール」になっています。

転職すると、「所属していた企業の肩書がなくなり、自分の価値が下がる」と心配する方がいますが、あなたが手がけた業績は、まぎれもないあなたの「作品」です

社外秘のものや、持ち出し禁止の実績を口にするのは言語道断ですが、一般にオープンになっているものがあるなら、ぜひあなたの大切な経験知の結晶として、転職先に伝えましょう。

あなたが苦労して手がけた実績は、あなたの経験知である、知識・スキルの賜物であり、宝物です。実績は、転職する際には、大きな優位点となるため、日ごろから「実績づくり」に取り組みましょう。

「あれを手がけたのは、あなたなのですね!」と言われれば、しめたもの!

肩書がなくなっても、企業名がなくなっても、大船に乗った気持ちで、新しい職場で存分に力を発揮してください。
 

田原 祐子
人材開発コンサルタント/ナレッジ・マネジメント研究者