FXにおいて、リスクは避けたいもの。FX専業トレーダーであるぶせな氏が提唱する「守りの資金管理」とはどのようなものなのでしょうか。ぶせな氏の著書「【究極進化版】最強のFX 1分足スキャルピング」(日本実業出版社)より、自分の資産を守る、資金管理の方法について詳しく見ていきましょう。
リーマンショックで〈全財産1,100万円〉をわずか1ヵ月で失った後、4年で復活を遂げた〈億トレーダー〉が徹底している「守りの資金管理」とは (※写真はイメージです/PIXTA)

運用資金を10個に分ける

私が一番意識している「守りの資金管理」の方法は「運用資金を10個に分ける」ということです。よく、全財産のほとんどを運用口座に入れ、運用しているトレーダーがいます。資金が多ければ、少しくらい負けてもメンタルに影響しませんし、運用資金を多くすることで満足感を得ることもできます。しかしその反面、リスクもあります。

 

FXの最大のリスクは、運用資金を一度にすべて失うことです。運用口座に100万円を入れておけば、リスクは100万円を失うこと、1,000万円を入れていれば、1,000万円を失うリスクがあるということになります。「いやいや、自分のやり方なら1,000万円を口座に入れておいても失うはずがないよ」と思う人がほとんどかもしれません。

 

しかし、よく考えてください。口座に資金を入れてトレードしている時点で、口座資金をすべて失う可能性は0%ではないのです。100万円の口座で1,000万円を失うリスクは、限りなく0%になるでしょう。しかし、1,000万円を入れていれば、1,000万円を失う可能性があります。

 

FXは証拠金取引ですから、拘束中の必要証拠金以上に損することは稀です。しかし、値が飛んだら証拠金以上に損することもあります。

 

重要なことは、可能性の問題です。口座に入金すればするほど、そのぶん全額を失うリスクが「存在」することを認識してください。

 

現在は、証拠金維持率が一定の割合になると、強制ロスカットされる制度があります。ですから、証拠金全額がなくなることはないと考えるかもしれません。しかし、強制ロスカットにあった瞬間は、冷静な判断ができない可能性が高いです。万が一、何かをきっかけにメンタルが崩壊して取り返したい気持ちが働き、同じポジションをフルロットで張り、また損切り、それを1日のうちに何度かやると、最初にあった資金はほぼなくなります。これは私の経験ですが、口座資金を失うときは、突然襲ってきます。

 

また、スイスショックのような何千pipsも値がぶっ飛ぶ可能性もないわけではありません。もし同じような大ショック相場があると、強制ロスカットが間に合わずに証拠金の何倍もの損切りになる可能性もあります。

 

そこで、口座資金をすべて失っても、再起できるようにしておきます。それも1回や2回ではなく、10回再起できるようにしておくのです。

 

たとえば、FXにあてられる資金が100万円だとしたら、それを10個に分け、10万円を運用資金にあてるのです。仮にその10万円を失っても、あと9回もチャレンジできます。勝ち続けるために重要なのは、致命傷を負わないことです。1回口座を飛ばしても問題ありません。1回口座を飛ばせば、入金する手続きや、新たにポジションを取ったりする時間ができます。たった1日でもいいので、時間をあけることにより、人は冷静になるものです。

 

一方、口座に100万円を入れてしまっていると、冷静さを失うような10万円の負けトレードをしたとき、残りの90万円ですぐに取り返そうとし、数分後にめちゃくちゃなトレードをしているかもしれません。さらに傷口を広げることは、火を見るよりも明らかです。

 

証拠金を10個に分けるのは絶対ではありませんし、ちょっとやりすぎかもしれません。3回や5回など、何度か再起できるようにしておけばいいのでしょう。そのあたりは任意で決めてください。私は、とにかく退場するリスクをゼロに近づける資金管理をしたいので10個に分けています。スキルを身につければ、証拠金が少なくてもそれを何倍にでもできると信じ、取り組んでいます。証拠金が多いと、どうしても気がゆるんで無駄なポジションが増えてしまうのです。