「一番風呂、どうぞお先に」と譲り合ったことがある人も多いのではないでしょうか? しかし、実は「一番風呂」は肌によくない、と温泉医療専門医の早坂信哉氏はいいます。医学的にも証明された、その意外な理由について、早坂氏の著書『最高の入浴法 お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)より、見ていきましょう。
「一番風呂」より「二番風呂」が実はおすすめだった!…医学的にも証明された「二番風呂」の〈意外な健康効果〉とは?【医師が解説】
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肌への刺激が大きい「一番風呂」
一番風呂とは、浴槽にお湯を入れてから誰も入っていないお風呂のことを言います。家庭のお風呂の場合は、湯の成分が水道水そのものという状態です。
日本の水道水は世界的に見ても質が高く、全国どこでも安心して飲むことができます。現在、日本の水道水は水道法によって厳しく規制を受けており、その安全性は折り紙つき。当然、お風呂に使用しても問題はありません。
しかし、日本の国土は狭いので、雨として降ってから、水が地中に滞在する時間が大陸の諸国よりも短いのです。そのため、ミネラル分が少ない「軟水」が一般的となっています。当然、一番風呂の湯にも溶け込んでいるミネラル分は少ないのです。
他方、人間の体には、細胞や血液といった体液中に、たんぱく質や様々なミネラル分などの成分が含まれています。その割合は、日本の水道水と比べるとずっと濃くなっているのです。
体の内側と、お風呂のお湯のミネラルの濃度の違いが、皮膚にぴりぴり感や違和感といった刺激をもたらすと考えられています。
温泉水で言えば、その濃さの違いで「低張性」「等張性」「高張性」の3段階に分類されますが、そのうち、人の体液と同じ濃さである「等張性」が最も刺激が少なく、肌に負担が少ないと言われています。
水道水は人の体液より薄いため、温泉水にならって分類するとすれば「低張性」になります。低張性の湯が皮膚と接すると水が皮膚の中へ移動します。長湯をすると指先がふやけるなどの現象は、この移動によって起こっているのです。
この水の皮膚への移動が皮膚への刺激になり、敏感な人は皮膚の不調を感じます。