長寿化が進む日本では“長生きリスク”なる言葉が生まれるほど、将来に不安を抱く人が増えています。そこで、老後の金銭的な不安を軽減させるため、定年退職してから年金受給開始までに受け取ることのできる「特別な給付金」について、具体的な事例からみていきましょう。FP Office株式会社の新倉摩耶FPが解説します。
給与が低すぎる…61歳男性、再就職先から提示された「年収320万円」に落胆→年金受給前にもらえる〈特別な給付金〉に大興奮【FPの助言】
早期の再就職を後押しする「再就職手当」
雇用保険の基本手当(失業保険)を受け取る資格がある人が再就職した場合などに一定の条件を満たしている場合に受給できる就業促進手当のことです。早期に再就職することを後押しする目的があり、新しい仕事に就く時期が早いほうが多くの金額を受給できます。
再就職手当金の支給を受けるには下記の①~⑧すべての要件を満たす必要があります。
■支給要件
①就職日の前日までの失業認定を受けた上で基本手当の支給残日数※が所定給付日数の3分の1以上あること。
②受給手続き後、7日間の待期期間満了後の就職であること。
③離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと。
④受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は求職申込をしてから待期期間満了後1ヵ月の期間内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
⑤1年を超えて勤務することが確実であること。
⑥原則として雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること。
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当金も含む)
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
※支給残日数は、再就職日から受給期間満了年月日までの日数を超える時は再就職日から受給期間満了年月日までの日数が支給残日数となります。
■支給金額
支給金額は次の計算式にて算出します。
基本手当日額は、賃金日額に基づいて計算されており上限金額が決められています。また支給率は、再就職先に就職する前日までの基本手当の支給残日数により異なります。
■支給率
・支給残日数を3分の2以上残して再就職した場合:基本手当の支給残日数の70%の額
・支給残日数を3分の1以上残して再就職した場合:基本手当の支給残日数の60%の額
基本手当日額の計算方法は、[図表1]のとおりです。
高年齢再就職給付金と再就職手当金をまとめると、[図表2]のようになります。
「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」は併給することができず、いずれか一方を被保険者自身が選択することになります。また、併給できないだけでなく、いったん選択し支給決定を受けるとその後の取り消しや変更等はできないため特徴を十分理解し慎重な選択をする必要があるのです。