年金保険料の支払いは国民の義務。しかし…

日本の社会保障制度は、「困ったときに助け合おう」という「共助」・「公助」のシステムです。皆さんが日々支払ったり、負担したりしている税金や社会保険料は、65歳以降の老齢年金や、万が一障害を負った場合の障害年金、医療費の一部負担等に充てられています。

日本の年金制度は、[図表]のとおり4階建てになっており、うち1階と2階部分は「国の年金」といわれています。1階部分の「国民年金」は、20歳以上60歳未満の全国民が加入を義務づけられている年金で、社会保険料として支払わなければなりません。

出所:筆者作成
[図表]日本の年金制度 出所:筆者作成

いったいなぜ?…国民年金納付率「83.1%」の現実

国民年金は、全国民で一律の金額になっています。令和6年度(2024年度)は、月額1万6,980円です。20歳以上60歳未満の国民の義務となっているはずの国民年金ですが、厚生労働省の発表によると、令和5年度(2023年度)の最終納付率は83.1%、つまり残りの2割弱は、なにかしらの理由で納付していません。

学生のうちは納付期限を引き延ばせる「学生納付特例制度」や、「法定免除」「申請免除」が存在しますが、なにもせず未納のままだと「延滞」という扱いとなるため注意が必要です。

延滞の状態が続くと、「延滞金(年率2.4~14.6%ほど)」が課されます。それでもなお支払いに応じないと、最悪の場合財産が差し押さえられることも。さらに、差押えは納税義務者(本人)だけでなく家族も対象となります。

国民年金は、保険料を支払うことで、65歳以降の老齢年金や、万が一障害を負った場合の障害年金、亡くなったときに残された家族が受け取れる遺族年金を受給できるしくみになっています。したがって、年金未納の場合は、当然これらの恩恵を受けることができません。

支払いができない理由はそれぞれにあるでしょうが、「払いたくないから未納」というのは避けるべきです。