会社員の大きな区切りとなる「役職定年」。その後も勤めている会社に残る場合、どうせなら一般の役職定年者よりも収入をアップさせたいと考える人も多いでしょう。そこで、『55歳からのリアルな働き方』(かんき出版)の著者である人材開発コンサルタントの田原祐子氏が、役職定年後のスキルアップを目指して取り組みたいことについて、事例をもとに解説します。
一瞬、耳を疑った…半年前に定年後退職した60歳の元部長、社長からかかってきた「まさかの電話」に歓喜【人材開発コンサルタントが解説】
半年前に定年退職したサラリーマン、社長から「まさかの電話」
太田さんは、長年印刷会社に勤務し、45歳で部長となりましたが、55歳で役職定年を迎え、60歳で定年退職しました。
印刷会社では、システム化が進んでおり、生産性が向上すると必要人員も少なくなるため、会社自体の人数も、どんどん減ってきていました。特に役職者は給料が高いため、太田さんの同僚の中には、リストラされた者も少なくありません。
ところが、定年退職した半年後、元の会社の社長から電話があり「戻ってほしい」と言うのです。太田さんは一瞬耳を疑いましたが、翌日、久しぶりに会社をたずねました。
すると社長は、「印刷技術や、客先との調整スキルを持った人材がいなくなり、困っている」と言うのです。
太田さんは今、もう一度部長という肩書をもらっています。報酬は以前ほど高くはありませんが、役職定年時の2割増しの給料をもらって、イキイキと力を発揮して働いています。
ベテランの強み…長年の経験を活かしてリスタート
太田さんのケースのように、ベテランがいなくなったために、技術やスキルが不足して困っている企業の話を最近よく耳にします。
このケースは、まさに、長く勤めた方ならではの経験知が認められた好事例であり、経験知の大切さが認められたケースです。ぜひ、あなたもご自身の経験知を、社内で見えるカタチにしておきましょう。
田原 祐子
人材開発コンサルタント/ナレッジ・マネジメント研究者