外貨建て一時払保険が問題視されている?

金融庁は、保険会社をはじめとした金融機関へ、外貨建て一時払保険の販売に対して改善を求めています。

「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本意の業務運営に関するモニタリング結果」によると、外貨建て一時払保険購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、契約継続期間が短期化しています。

また、ターゲット型保険のほとんどが目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する事例が多数発生していると指摘しています。

つまり、今回のAさんのように、昨今の円安により当初の期間より早く目標到達となったことで解約を行い、新しい商品に乗り換えを勧められているという事例が増えているのです。

契約者からしたら、自分が契約した商品が思った以上の成績を出したことは喜ばしいことです。「これまでよかったのだから、次の商品のきっとよいものに違いない」と思ってしまう気持ちはわかります。

ただし、下記のことは認識しておく必要があります。

為替は数年前と比べて円安となっているが、将来の為替の動きは読めない

ここ数年で為替は円安に振れました。Aさんを例にすると、初回のドル建て一時払保険を契約したときは1ドル108円という水準でしたが、5年間で1ドル160円と、50円近くも円安が進行したのです。契約時よりも、円安が進んでいれば解約時には為替の差益を受け取ることができ有利となります。

しかし、今後の為替の動きは誰にもわかりません。

今回のAさんの保険のように、10年後はドルベースで約150%の増加が約束されている商品でさえ、仮に円高が進行して108円の水準に戻ってしまった場合、円に戻したときに利益はほどんどなくなってしまいます。

■1,300万円を160円でドル換算すると8万1,250ドル

→10年後にはおよそ1.5倍の12万1,875ドルとなる

→12万1,875ドルを1ドル108円で円換算すると1,316万2,500円

現在の1ドル150〜160円という水準は、2022年ごろから急激に進行している背景もあり、今後の動きを慎重に見る必要があります。

乗り換えの度に手数料が発生している

「同一商品を同一顧客に販売する、いわゆる乗換販売によって販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えない」と金融庁は指摘しています。

このような手数料は運用益などに組み込まれ利益の押し下げの要因となっていることにも注意が必要です。