日本の「老老介護」の現状

日本の少子高齢化が進む中、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」は年々増加しています。厚生労働省の「令和6年度版厚生労働白書」によると、2022年には介護者と要介護者の約8割が60歳以上同士、約4割が70歳以上同士であることが報告されており、高齢者同士が支え合う現状が浮き彫りになっています。

また、家族が介護のために仕事を辞める「介護離職」も問題であり、働き盛りの世代が家計を支える役割を放棄せざるを得ない状況となっています。総務省の「令和4年就業構造基本調査」によれば、年間約10万人が介護を理由に離職しており、経済的な負担や将来の生活設計に影響を与えています。

このような背景から、多くの家族が「自宅介護」ではなく、老人ホームのような専門的な施設での介護を検討するようになっています。

老人ホームを利用するメリットとして、

・24時間の介護体制が整っている

・介護の専門職が医療やリハビリのサポートを提供してくれる

・家族の身体的・精神的負担が軽減される

上記の点が挙げられます。さらに、一定の生活リズムや医療管理が確保されるため、認知症の進行抑制や生活の質の向上が期待されます。

しかし、老人ホームを選ぶ際には費用面や居住環境、家族の関わり方など、さまざまな要素を考慮する必要があります。特に、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームなど、施設ごとに異なるサービスや費用が存在するため、家族の考えに応じて選択するかが必要となります。