気象庁の発表*1によると、今年の夏は全国的に平均気温が例年より高くなる見通しだとか。今年もまた蒸し暑いあの日々がやってくるのかと思うと、気分が滅入ってしまいそうです。そんな猛暑や汗による不快感を衣類で軽減しようと果敢に取り組んでいるのがアパレルメーカー。そこには、日本企業が得意とする繊維のテクノロジーがフル活用されているのはご存じでしょうか? 暑いからこそ着て涼しくなる、そんな猛暑対策に役立つ繊維テックの例を紹介します。
国産メーカーの技術力が結集! 猛暑をしのぐための繊維テック最新事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

持続冷感プリントの衣類、「素脚よりクール」なストッキングも

今回は3つのメーカーによる繊維テクノロジーにフォーカスしましたが、毎年記録を更新するかのような暑さを少しでも快適に過ごせるようにと、下着メーカーや靴下メーカーはその開発によりいっそう力を入れています。

 

ピーチ・ジョン「クーリッシュ」シリーズのインナー(ピーチ・ジョン提供)
ピーチ・ジョン「クーリッシュ」シリーズのインナー(ピーチ・ジョン提供)

 

例えば、ピーチ・ジョンが今春発売した「クーリッシュ」シリーズのインナーやパジャマには、共通して接触冷感プリントが採用されています*3。持続冷感プリントとは、特殊なマイクロカプセルを練り込んだ、冷たさを持続する特殊なプリント。それを背中部分に施すことで、背中から涼しく快適に過ごすことができるものです。

 

クーリッシュシリーズはもともと同社が夏向けインナーとして毎年アップデートを重ねながら販売していましたが、今年、創立30周年記念を迎えた記念として、ロッテのアイス「COOLISH」とのコラボが決定。「高温多湿な日本の夏を少しでも快適に過ごせるように」との思いが込められているということです。

 

また、アツギのストッキングブランド「アスティーグ」の「アスティーグ【冷】」は、レッグ部分に、放熱性を高める特殊な編み設計と、加工技術の組み合わせにより、涼しさを追求した素材(クールエナジー(R))を採用。「素脚よりもクール」をキャッチコピーに、夏仕様のストッキングとして販売しています。

 

日本のメーカーが得意とする繊維テックをご紹介しましたが、 「着ること、身につけることで涼しくなる”」衣類やアイテムを活用しながら、夏に備えたいですね。

 

参考:

*1 https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P6M

*2 「夏用商品利用と利用者満足」調査。調查人数:3000人 調査期間:2023年4月

調査方法:自社によるインターネット調査

*3 ピーチ・ジョンの持続冷感とは、特殊なプリント部がからだに触れたり、離れたりすることによって、プリント部が吸熱・放熱を繰り返すこと。

 

<プロフィール>

川原好恵

文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身。ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。