1986年にテレビドラマが放映されて以来、多くのファンに愛されてきた『あぶない刑事』シリーズの最新映画『帰ってきた あぶない刑事』(原廣利監督)が5月24日(金)に公開されます。1987年の劇場版第一弾から制作宣伝、96年からはプロデューサーとして『あぶ刑事』を世の中に送り出してきた近藤正岳さんにお話を伺いました。
「不適切にもほどがある」けど…ゼイゼイ言いながら走るユージもカッコいい
――仲村トオルさん演じる町田透はタカ&ユージの後輩のイメージなので、意外というかもっと若いイメージがありました。60歳と言えばバブル世代真っ只中ですね。
近藤:まさしくバブルを象徴するようなドラマで、主演2人のキャラクターがカッコいいんだと思うんですよね。所轄の刑事という公務員にもかかわらず、生活感がゼロで……。
――そういうカッコよさって今の時代においても求められているような気がします。
近藤:基本的にリアリティとかコンプライアンス的な観点からは、最近の言い方で言ったら「不適切極まりないキャラクター」ですよね。それでも60代バブルを過ごした人たちにとっては、「やっぱりあの頃って1番面白かったよね」という部分はあると思うんですよね。あの時代のお祭り感が作品のオシャレ感に通じているところがあって、一見向こうみずな「あぶない」ところが決して後ろ向きな意味ではなくて、イキイキとした時代性を感じさせるのだと思います。それを体現できているのがタカ&ユージだし、作品の魅力にもつながっているのです。
――やっぱり2人をカッコよく見せるというのは変わらないんですね。
近藤:そうですね。ただ、「老い」というか、年を重ねた姿をあまりごまかさずに見せようというのは意識しました。舘さんも恭兵さんも昔みたいに速く走れなくても、ゼイゼイするのもそれはそれでカッコいいじゃないっていう……「老い」と「オイルショック」をかけたセリフも登場するのですが、昭和のダジャレっぽいギャグも味があるんじゃないかなと思って。そこはあまり若い世代におもねらずに、言っていこうぜというのはあったと思います。
――「老い」をないことにしないというかそのまま受け入れている姿がカッコいいなと思いました。
近藤:カッコいいものは時を経てもカッコいいじゃんということですよね。
――浅野温子さん演じる薫も相変わらずで安心したというか面白かったです。
近藤:悩みどころとして、どうやって薫を登場させるかというのもあったんです。年齢を重ねた壊れ方をどうするかという……タカとユージがニュージーランドに行って帰ってくる理由は簡単だったのですが、2人を追いかけてニュージーランドに行った薫はどうするんだ? というのは結構頭をひねったのですが、そうおっしゃっていただけて安心しました(笑)。