オファーには二つ返事で快諾、キャリア60年で初の主演

――まずは今回のオファーを受けたときの心境と脚本を読んだ感想からお聞かせください。

平泉成さん(以下、平泉):いつも僕にできるものであればやらせていただこうと思っておりました。脚本(ほん)を読ませていただき、「これならOK! 僕にもできる」と思い、二つ返事でお返ししました。

――平泉さんのようなキャリアをお持ちの方でも「僕にもできるかな」と思うんですね。

平泉:いやいや、思いますよ。本当は僕自身不器用ですから、なんでもということではなく、少しでも役に近づこうと頑張っているだけで……。

――今回は初の主役ということですが……。

平泉:主役となると頑張るだけではなく、作品全体のバランスとかも考えなくてはと思いました。

――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

平泉:もちろん素晴らしい作品に仕上がったと思います。でも一番は、最後までやり遂げ、作品を完成できたことですね。今の時代に逆行するかもしれませんが、次から次へとでじたるかが進み、目まぐるしい社会の流れには、多少抵抗もありました。

昭和の話じゃないけれど、家族の温もりや人との結びつきがこの映画の中心にあって、このタイミングで公開されることは、とても素晴らしいことですし、嬉しいことだと思います。