相続財産は、必ずしも「プラスの財産」ばかりではありません。借金や債務保証などの「マイナスの財産」が残されている場合もあります。そのままでは、相続人は借金を相続することになります。相談事例から、解決策を見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
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相続放棄の手続きと期限、必要書類は?
では、実際に相続放棄する場合、どのような手続きを取ればいいのでしょうか?
まずは、家庭裁判所のホームページから必要書類をダウンロードして、それに必要事項を記入し、速やかに家庭裁判所に提出します。郵送もOKです。
強調したいのは「相続放棄には期限がある」ということです。相続が発生してから3ヵ月以内に手続きを完了させる必要があります。その際、遺産の内容に関する調査の時間が足りなければ、家庭裁判所に期間延長の申し立てをすることがでいます。
一度認められた相続放棄は、あとから撤回できないので、もし相続放棄したあとで大きな資産が見つかっても、相続放棄を取り消すことはできません。その点も注意をしてください。
◆「必要書類」とは?
先述した必要書類についてですが、今回の相談者の方のように、申述人が被相続人の子(またはその代襲者〈孫、ひ孫など〉の第一順位相続人)の場合は、下記となります。
●相続放棄の申述書
●標準的な申立添付書類
●相続放棄する人の戸籍謄本
●被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
※戸籍謄本は、出生から死亡のものが必要
出所:裁判所「相続放棄の申述」
なお、除籍謄本とは、結婚・離婚・死亡などで、在籍する人が誰もいなくなった戸籍のこと、つまり、だれもいない空の戸籍のことです。改正原戸籍とは、戸籍法改正によって新しい様式に変更される前の古い様式の戸籍のことです。
書類が一式揃ったら、家庭裁判所へ提出します。その際、相続放棄申述書に貼る収入印紙800円、あとは戸籍謄本等を取得するときの費用、郵送のための切手代が必要です。
◆「相続放棄申述書」の書き方
念のため、相続放棄申述書の書き方も説明しておきましょう。申立書を提出する家庭裁判所名と作成年月日を書きますが、家庭裁判所は「亡くなった人が最後に住んでいたところ」を管轄する裁判所になります。どこでもいいわけではありませんので、注意してください。
2枚目に相続放棄する理由を書くようになっています。今回の相談者の方の場合は「債務超過のため」という理由にマルをすることになります。
必要以上に記入ミスを恐れて慎重になる方もいますが、提出期限に遅れたら最悪です。必要事項を全部記入したら、すぐに家庭裁判所へ提出しましょう。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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