50代、60代になると、歯周病の悪化によって歯が抜け始める人が増えていきます。歯が抜けてしまうことによる身体への影響は、思っている以上に甚大なものです。本記事では医療法人社団アスクラピア統括院長の永田浩司氏が、歯が抜けることによる影響と、部分入れ歯の適切な手入れ方法について解説します。
50〜60代で次々に抜け始める歯…面倒な 「部分入れ歯」の手入れ、サボることによって招く「恐ろしい事態」【歯科医師が警鐘】
部分入れ歯のベストな手入れ方法
そもそも高齢になると嚥下機能が低下し、誤嚥しやすくなります。誤嚥性肺炎は食べカス、唾液などが誤って気管に入ってしまった際に、口腔内の細菌が肺に入ってしまうことで起こります。入れ歯に汚れが付着したままでは、当然、そのリスクも上がってしまうのです。
次に化学的な清掃のタイミングは、就寝時がおすすめです。患者さんには「部分入れ歯であっても、夜は必ず外して就寝してください」とお伝えしています。部分入れ歯の装着時は歯茎を覆ったり、バネを引っ掛けたりして、まわりの歯にも負担をかけている状態です。口腔内の粘膜を圧迫している状態でもあるので、解放する時間がないと粘膜にダメージを与えてしまいます。
また、入れ歯に関係なく、就寝中は唾液の分泌量が半分程度に減ってしまうため、日中に唾液の自浄作用によって一定数に保たれていた細菌が増殖しやすくなります。それに加えて自浄作用を阻害する入れ歯をしたままでは、歯周病や虫歯などのリスクが高まることは明らかです。
つまり、部分入れ歯は、食事のたびに外して機械的な清掃を行い、夜寝るときは外して化学的な清掃を行う、というのがベストな手入れ方法となります。毎日の入れ歯の手入れは残っている歯や歯茎、そして健康を守ることにつながるのです。
50代、60代で部分入れ歯が必要になったということは、残っている歯も今後、弱っていく可能性があるということです。入れ歯のお手入れに加えて、隣接する歯についても今まで以上にお手入れや適合、噛み合わせなどの定期的なチェックを行ってください。
永田 浩司
医療法人社団アスクラピア 統括院長