50代、60代になると、歯周病の悪化によって歯が抜け始める人が増えていきます。歯が抜けてしまうことによる身体への影響は、思っている以上に甚大なものです。本記事では医療法人社団アスクラピア統括院長の永田浩司氏が、歯が抜けることによる影響と、部分入れ歯の適切な手入れ方法について解説します。
50〜60代で次々に抜け始める歯…面倒な 「部分入れ歯」の手入れ、サボることによって招く「恐ろしい事態」【歯科医師が警鐘】
入れ歯の手入れに歯ブラシを使ってはいけない
入れ歯のお手入れについては、機械的な清掃(ブラシ等を使う方法)、化学的な清掃 (薬品を使う方法) の2段階のアプローチが必要になります。どちらかだけで汚れを落とすことはできません。これは部分入れ歯、総入れ歯どちらも同じです。
まず、機械的な清掃というのはブラシを使って行います。歯や入れ歯に付着するプラークのうち、有機プラークは水で洗浄するだけで取れますが、付着プラークはブラシで磨かなければ取れません。
ブラシは歯磨きに使っている歯ブラシではなく、必ず義歯用ブラシを使いましょう。歯ブラシは歯茎を傷つけないように柔らかく作られているので、硬めに作られている義歯用ブラシのほうがしっかり汚れを落とせるからです。義歯用ブラシはドラッグストアなどで300円程度で購入できます。
患者さんに入れ歯を見せていただくと、ブラシの傷が残っていることがよくあります。これは多くの歯磨き粉に含まれている研磨剤によるものです。入れ歯は歯よりも柔らかいため、歯磨き粉は使わないほうがよいでしょう。プラークを抑制するクロルヘキシジン配合の専用薬剤(洗浄剤)も歯医者さんで購入できますが、中性洗剤でも代用できます。
化学的な清掃は専用の洗浄剤を使って行うもので、「ポリデント」「パーシャルデント」などの商品が有名です。費用は1回5円程度なので、頻度としては3日に1回、可能なら毎日やっていただきたいと思います。金属を使った入れ歯の場合、薬剤によっては金属部分が腐食してしまうものもありますので、説明書をよく読んで購入しましょう。
外出時、就寝時であっても外して手入れするべき理由
清掃を行うタイミングですが、部分入れ歯であっても、機械的な清掃は「食事をするたび」「外して洗う」が正解です。50、60代ではまだ通勤をしている方も多いと思いますが、外して手入れする以外の代替案はありません。口をゆすいで済ませている方もいるかもしれませんが、残念ながら爽快感以外の効果はないに等しいです。