(※写真はイメージです/PIXTA)

令和6年度の診療報酬改定の答申が発表されました。その内容に中小の病院と診療所は大きな衝撃を受け、6月からの大幅減収を懸念している診療所も多いと思います。ここでは、令和6年度 診療報酬改定の概要、主な診療科目である内科・小児科の対策を記載します。本連載は、コスモス薬品Webサイトからの転載記事です。

診療報酬改定の概要

令和6年度の診療報酬改定は、全体を通してプラス改定となりました。その一方で、外来診療においては小児科など一部の診療科目を除いて、減算となるケースも多くありました。

 

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特に改定の大きかった分野としては「生活習慣病(糖尿病・高血圧症・高脂血症)算定の大幅なてこ入れ」、「小児科領域の評価の見直し」が挙げられます。今回はこの2つに加え、「新型コロナウイルス感染における加算の廃止」、「往診に関しての余談」について解説します。

生活習慣病(糖尿病・高血圧症・高脂血症)診療の点数に大幅なてこ入れ

「生活習慣病(糖尿病・高血圧症・高脂血症)の報酬に大幅なてこ入れがされる」との発表は、内科診療を行う多くのクリニックの先生方を顔面蒼白にするほどのインパクトがあったと思われます。

 

生活習慣病の要である糖尿病・高血圧症・高脂血症の診療報酬は、これまでは月2回まで算定可能な「特定疾患療養管理料(225点)」が下支えとなっていましたが、今回の診療報酬改定で、この3つが特定療養疾患管理料から原則除外となりました(例外的に糖尿病の自己注射、家族性の高脂血症を除く)。

 

そして「生活習慣病管理料(Ⅱ)(333点)」が新設され、こちらを算定することとなりました。

 

糖尿病・高血圧症・高脂血症の他の診療報酬としては、従来の「生活習慣病管理料」にあたる「生活習慣病管理料(Ⅰ)」がありますが、これは高点数であるものの、今回の改訂で点数が増え、患者様負担が増加することになり、誘導が困難であるといえます。また、生活習慣病管理料(Ⅰ)を適用するにしても、外来管理加算が併算定不可、月1回までの算定という厳しい条件があるほか、患者様の同意を要する療養計画書の作成も発生します。

 

このように、オペレーションの再構築、患者様への説明・対応などが要求されることからも、従来のような容易な算定は不可能となりました。

 

【算定の例】

 

 改定前 

再診料+外来管理加算+特定疾患療養管理料+処方箋料(通常)+特定疾患処方管理加算(28日以上)

73点+52点+225点+68点+66点=484点

 

 改定後 

再診料+生活習慣病管理料(Ⅱ)+処方箋料(通常)

75点+333点+60点=468点

 

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内科におけるクリニック運営の効率化

勘のいい方は、特定療養疾患管理料の原則を思い返してヒントを得たのではないでしょうか。

 

糖尿病の診療では、近年では週1回の自己注射薬のハードルも下がってきており、2型糖尿病の主原因の1つとなる肥満症を改善させる製剤も市場に登場しました。糖尿病診療においては、前述の除外対象となる「在宅自己注射管理」も検討したことと思います。

 

加えて、生活習慣病患者には慢性心不全・慢性腎臓病(糖尿病性腎症など)、甲状腺疾患、慢性胃炎、虚血性心疾患、不整脈など多数の基礎疾患の合併例も散見されます。特定療養疾患管理料の算定主病名の見直しもヒントになると思います。

 

これに加えて「地域包括診療加算2」の算定が可能となれば、すべての初診に算定できる「機能強化加算(80点)」を組み合わせるとよいでしょう。

 

「地域包括診療加算2」を算定するには、地域の医療機関・薬局・福祉などと連携している、かかりつけ医機能の評価が必要です。この評価を取得するには、24時間対応できる薬局との連携、地域ケア会議への参加実績、介護保険主治医意見書作成、日本医師会認定「かかりつけ医機能研修」の修了、時間外対応加算(3)などの要件があります。

 

かかりつけ医機能の評価の取得には、クリニック所在地の医師会に加入し、日本医師会が主催する、かかりつけ医機能研修を受け、地域に根差した医療活動を展開することが近道となります。

 

【今回の診療報酬改定における点数の変化】

 

地域包括診療加算1

28点(改定前:25点)

 

地域包括診療加算2

21点(改定前:18点)

 

認知症地域包括診療加算1

38点(改定前:35点)

 

認知症地域包括診療加算2

31点(改定前:28点)

 

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小児科におけるクリニック運営の効率化

小児科の受診患者の多くは6歳未満であり、多くの医療機関は6歳未満に対して包括診療である「小児科診療料」を算定していると思います。一部の医療機関では、救急診療の機能向上やアレルギー診療の展開から出来高払いを選択しています。

 

今回、少子高齢化の改善を目的に、小児に関しては継続的かつ全人的な診療推進の観点から基本点数は増加となりました。

 

①6歳未満の「小児かかりつけ診療料」に紐づく「機能強化加算」

小児科においても「小児かかりつけ診療料」の施設基準を満たすことにより、前述の初診すべてに算定できる「機能強化加算(80点)」があります。これを算定できるかが、経営の重要なポイントとなります。

 

とはいえ、成人と比べて、施設基準のハードルは低いといえます。その要件を以下に記載します。

 

《小児かかりつけ診療料1・2共通の要件》

 

●小児科又は小児外科を担当する常勤の医師が1名以上配置されていること

 

●時間外対応加算3(かかりつけ診療料1)、時間外対応加算2・4(かかりつけ診療料2)に係る届出を行っていること

 

●小児科又は小児外科を担当する常勤の医師が、以下に掲げる項目のうち3つ以上に該当すること

 

①在宅当番医制等により、初期小児救急医療に参加し、休日又は夜間の診療を月1回以上の頻度で行っていること

 

②乳幼児の健康診査(市町村を実施主体とする1歳6か月、3歳児等の乳幼児の健康診査)を実施していること

③予防接種(定期予防接種)を実施していること

 

④過去1年間に15歳未満の超重症児又は準超重症児に対して在宅医療を提供した実績を有していること

 

⑤幼稚園の園医又は保育所又は小学校若しくは中学校の学校医の嘱託医に就任していること

 

【小児かかりつけ診療料1・2の取得によって算定できる報酬点数】

 

いずれも処方箋を発行する場合の報酬点数です。

 

小児かかりつけ診療料1

初診時:652点(改定前:641点)、再診時:458点(改定前:448点)

 

小児かかりつけ診療料2

初診時:641点(改定前:630点)、再診時:447点(改定前:437点)

 

これに、加え、初診に機能強化加算(80点)、小児抗菌薬適正使用支援加算(80点)が算定可能となります。

 

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②小児特定疾患カウンセリング料の大幅改善

小児特定疾患カウンセリング料は、6歳以上の出来高払いとなる患者様のうち、不登校、発達障害、精神疾患などが対象となり、18歳まで算定可能です。診療時間はかかりますが、ニーズが高いことから高い評価をされています。

 

【小児特定疾患カウンセリング料】

 

医師による場合

初回:800点

 

初回のカウンセリングを行った後、1年以内の期間

月の1回目:600点、月の2回目:500点

 

初回のカウンセリングを行った後、1年から2年の期間

月の1回目:500点、月の2回目:400点

 

初回のカウンセリングを行った日から起算して2年から4年以内の期間

400点

 

また、こうした疾患を取り扱うには予約診療が必要です。

 

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新型コロナウイルス感染における加算の廃止

ご存じかと思いますが、2023年10月より算定している、いわゆるコロナトリアージ、「特定療養疾患管理料(147点)」は2024年5月末で廃止となります。

 

6月からは月1回の発熱診療加算(20点)のみとなり、COVID-19の抗原検査報酬も減点となります。

 

6歳未満の「小児科診療料」「小児かかりつけ診療料」における包括診療においても、COVID-19の抗原検査と検査判断料は別途算定可能でしたが、6月からは別途の算定が不可となり、こちらも経営に影響を及ぼすことが考えられます。

 

成人・小児ともに、この改訂により減収となる医療機関も多いかと思われます。そのためにも、発熱診療の代替となる、診療の柱をいくつか構築していく必要があります。

往診に関しての余談

令和6年の診療報酬改定で「往診」に関して鉄槌が下されました。

 

かかりつけ医ではなく、突発的な症状のみの「往診専門のクリニック」の場合、深夜往診加算が2300点から485点まで大幅に減点されました。

 

改定の趣旨としては、厚生労働省のとある医系技官によると、かかりつけ医療機関の在宅医療による全身管理が必要な患者様の突発的な往診と、かかりつけ医・主治医として実態がない医療機関による突発的な往診を同じ評価にはできない、とのことでした。

 

この減点により、3月31日で往診業務の完全終了を表明した運営会社もあります。

 

 

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武井 智昭
株式会社TTコンサルティング 医師