勝ったらもっと勝ちたくなり、負けたら取り戻したくなる「ギャンブル」。魅力を感じなくなるか、もしくはやりたくてもできない環境に身を置かれる以外にやめる方法はないのかもしれません。本記事では公認会計士、税理士、証券アナリスト、CFP、宅地建物取引士の資格を持つ鄭英哲氏が、Sさんの事例とともに身の丈に合わない借金の恐怖について解説します。
パチンコやめられず…年収600万円の夫の給料と自宅を担保に、消費者金融で「600万円」借りた50歳・無職「ギャンブル依存」の主婦の末路【CFPが解説】

再び借り入れを求めにやってきた

やはり違和感は的中。9ヵ月も経ったころ、Sさんが再びやってきました。要件は、お金を貸してほしいと。信用情報を調べたら、他社の債務が復活しています……。

 

もちろん3月に貸した不動産担保ローンも上限いっぱいの400万円借りられています。つまり、合計約600万円を借りていたのです。もちろん追加で貸すことはできないと言うと、焦ったように「他社で貸してくれるところはないか」と聞かれました。しかし、この状況で貸せる会社はないだろうと率直に伝えました。

 

ついでになぜ他社の債務が増えたのかを聞きました。返ってきた答えは、パチンコ……。

 

筆者のような末端の社員は、通常の貸し付けについての管理はしますが、不動産担保ローンの管理は店長さらには専門の部署に引き継がれるので、詳しいことはわかりません。最終的には自宅を売却したとのことです。

 

自宅を売って解決したことにはなりましたが、その後夫婦がどうなったかについては知る由もありません。やはり身の丈に合わない借金は、のちに身を滅ぼすということだけははっきりとわかりました。

 

 

鄭 英哲

株式会社アートリエールコンサルティング