働く女性の睡眠時間が短い日本

――特に日本の女性は睡眠時間が短いということですが、睡眠時間について、男女差はあるのでしょうか?

西野精治さん(以下、西野):動物実験をすることもあるのですが、睡眠量はオスとメスで変わりません。ただ、人間の場合は第二次性徴が早いので、ホルモンの変化によって睡眠の質が変わったり、パターンが変わったりすることもあるのでその時期は性差が目立つのですが、基本的に違いはないです。

ただ、男女差で言うと、欧米では女性の方が男性に比べて長く寝る人が多く、日本や韓国、インドでは女性の方が睡眠時間が短い。生物学的な差というより、むしろ働く女性は睡眠時間が短く、女性を取り巻く環境といった文化的、社会的な側面が大きいと思います。

睡眠の質と病気、老化との関係は?

――睡眠の質が悪いと病気などにもなりやすいのでしょうか?

西野:調査をするとマクロの視点で言えば、睡眠と病気の関係について一定の傾向はありますが、個人に落とし込んだ場合、食事、運動やライフスタイルなどいろいろな要因が絡んでき例外も認められます。気になる点は自身で確認しながら改善していくことがいいのかなと思います。

――睡眠と老化の関係はあるのでしょうか?

西野:双方向に関係があると言えると思います。年を重ねるにつれて睡眠時間が短くなったり、早朝に目を覚ましたりなど、睡眠が変わってきます。逆に睡眠が悪くなれば、老化に伴う症状が早く出てくる可能性があります。 

例えば、成長ホルモンは寝ている間に体をメンテナンスしてくれるのですが、入眠直後の深い睡眠が少ないと成長ホルモンの分泌も少なくなります。脳の老廃物も睡眠中に除去できるのですが、それがうまくいかないとアルツハイマー認知症等の発症にも関わってきます。そういう意味では、老化そのものではないのですが、老化に伴うような疾患が発症しやすくなると言えます。