会者定離―…どんな人とも、いつかは別れる

仏教の“真髄”

四苦八苦は仏教の教えを土台にした言葉です。四苦は生・老・病・死の4つ。私たちが避けて通れないもの、私たちの都合通りにならないものの四天王です。これに「あるある」の4つの苦が加わって全部で八苦になります。

愛する者と別れなければならない愛別離苦、嫌な人と会わなければならない怨憎会苦、求めても得られない求不得苦、体と心を持っているゆえの五蘊盛苦です。

これとは別に、世の中を貫く無常のあり方として、生者必滅(生あるものは必ず終わりがあって滅する)と、その対句で使われる会者定離(会うものは必ず離れる)があります。

いつか別れる、離ればなれになるのを念頭に入れて好きな人と一緒にいるのは難しいでしょう。しかし、それを少し意識すれば、一緒にいる時間と空間を大切にしたくなるものです。

これは、一緒にいたくない人にも応用できます。「こんな人といつまで一緒にいなければならないのか」と思ったら、「まっ、会者定離だ」と思って我慢しましょう。

苦手な人と、自然に距離を置くコツ

苦手な人と距離を置きたければ―

諸行無常の“諸行”は、もろもろの作られたものという意味。この中には、悪い人間関係なども入ります。それらが“無常”(常ではない、変化する)の理由は、どんなことでも集まる縁(条件)が次々に加わったり、入れ代わったりするからです。

人間関係には、関わりのある人が持っているそれぞれの縁があります。それらの縁が目まぐるしく変わるので、それにともない関係性も変わっていきます。

苦手な人と距離を置きたければ、あなたが熱心に何かに取り組むという縁を加えればいいのです。そうすれば、「今、忙しいから」と、無理にそっけない態度を取らなくても相手は離れていきます。相手が気に障るような言動をするなら、その理由を理解しようとする縁を加えれば、敵愾心は薄まるでしょう。

悪い関係を早く終わらせたければ、関係改善の縁を含めて、あなたがその縁を作るのが一番ですが、相手にも変化が起きます。相手の心境を変化させる出来事が起こったり、相手が配置転換になるかもしれません。ひょっとするとあの世に引っ越しして、関係に終止符が打たれることだってあるのです。悪い関係もいつか終わります。