あなたは自分についての噂を漏れ聞き「そんなふうに思われていたなんて…」と落ち込んだ経験はありますか? 他人の目を気にして生きるのはつらいですよね。他人の評価に「一喜一憂」しないためにはどうしたらいいでしょうか? 現役住職で著者累計100万部を超えるベストセラー作家の名取芳彦氏が、人間関係で悩まないコツと併せて、著書から教えてくれました。
周りの人にどう思われているか気になります…他人の評価に「一喜一憂」しないためにはどうしたらいいですか?【現役住職の“天晴れ”な答え】
「いい人間関係も『いつか終わる』」精神的自立のすすめ
「あなたがいなくても、私は大丈夫」
四十代の女性から、「母が死んだら、愛犬が死んだらと考えると、そこから思考が抜け出せない」と相談されたことがあります。彼女は、「いい関係もいつか終わる」ということを知っているのです。そして、その際に自分が対処できないのではないか、ということが不安で仕方ないようでした。
正直、「~になったらどうしよう」とおびえてばかりいるのは、時間の無駄です。私は彼女に、「~になったら、こうしよう」と具体的な解決策を考えておくほうがいい、とアドバイスしました。
ペットとの関係は言うに及ばず、強い関係性は互いが依存していることが多いので、片方がいなくなれば不安になるのは当然です。その不安を除くには、いい関係が消失する前に「あなたがいなくても、私は大丈夫」と、精神的に自立する必要があります。
いい関係のおかげで自分は人間的に成長できた、楽しかった、心がおだやかになった、などの気づきを何度も上書きしていくのが自立する一つの方法です。自分が受けたいい影響を時々確認し、アップデートしながら自立していきましょう。
「人の評価なんて」あっというまに変わる…その基準は「十人十色」
他人の評価に「一喜一憂」しないこと
自分についての悪い噂が聞こえてきて、「そんなふうに思われていたなんて、ショック!」と心乱れることがあります。
人は他人の一面を見てその人を評価します。「あの人は自分に正直な人だ」と言う人もいれば、「自分には正直だけど、他人に対しては不誠実だ」と分析する人もいます。「仕事はできるけど、あいつは酒飲みだ」と言う人もいれば、「無類の酒好きだが、仕事はできる」と評する人もいます。
この事実をもとに、私は「自分のたった一つの側面を切り取ってどんな悪評が立ちそうか、二つ、三つ考えておくとショックが小さくてすみます」とお伝えしています。一人の人間を評価する基準は数十にのぼるでしょう。十人いれば十通りの評価があってもおかしくありません。どの評価も基準によって変わります。
そして、その基準も、評価する人がどのような生き方をしてきたかで変わります。今、自分がされている評価にモヤモヤしているなら、憤慨するだけでなく、別の基準で評価してもらえるようにアピールするといいかもしれません。