相続において、避けては通れない遺産分割。しかし、相続財産のなかに相続人の数に合わせて分けることの難しい土地が含まれていると少々厄介に。相続争いに発展することも珍しくありません。そこで税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士に、土地の相続で揉めない方法に加え、相続した土地をどうすべきか、解説いただきました。

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なぜ「土地の相続」は揉めるのか?

令和4年12月に国税庁から発表された『相続税の申告事績』によると、相続税財産の金額の構成比は現預金が34.0%、土地が33.2%、家屋が5.1%になっています。この構成比はここ数年、ほとんど変わらない状態になっており、今後も続くものと考えらえます。

 

一方で『令和3年司法統計年報』によると、遺産分割で争う遺産の価額は5,000万円以下が全体の76.64%を占めています。遺産分割で揉めるのはお金持ちの家庭、とイメージする人は多いでしょうが、実際には、ごく一般的な家庭であることのほうが多いのです。

 

遺産分割において、残す側が気にするのは、いかに公平に、そして相続人が納得できる遺産分割にするか、ということ。しかし、そのような気持ちがありながらも、相続が発生すると、なかなか公平に分割できずに揉めてしまう、というのが実態です。

 

どうして、揉めたいわけではないのに揉めてしまうのか。それは相続財産が不動産である場合には、思うように分割することができないからです。

 

たとえば、「遺産は公平に」と、相続人が全員共有名義として分割するとしたらどうでしょうか。一見、公平に分割されているように見えますが、その後の相続がさらに複雑化することになります。相続人の子供、孫、と引き継がれていった場合、あまり付き合いのない親戚と共有名義の不動産を所有することになります。また、相続不動産の管理を誰か一人が代表として行うようになり、そこに対して不公平感が出てくる結果になるケースがあります。このように、不動産の遺産分割において共有名義という選択肢は、慎重に考えるべきことになります。

 

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相続した土地を分ける方法

ではその土地を分筆するのはどうか、という意見もあるでしょう。実際、分筆することによるメリットもあります。土地の一部だけを売りたい、一部の利用方法を変更したい、一部の土地を担保にしたい、などのケースが分筆の理由として考えられます。

 

しかし、この分筆は、土地の状況によっては複雑で長期化して、かつ費用も高くなることもあります。遺産分割や相続対策には色々な形があります。たとえば不動産を活用して、その収益を分配する形で公平に配分するということも、ひとつの遺産分割の形として考えられます。

 

よくあるケースが法人化して不動産の賃料収入を給与として分配していくという形です。この場合ですと不動産の所有名義は会社ですので、その株式を相続していくことになります。株式は不動産と違って、分割して贈与や相続をしやすく、また株主が変わったからといって登記費用などのコストがかかることはありません。不動産の場合には、登記費用がかかるのでそこも手続きがしやすい理由の一つです。そして、その賃料収入などによる収益を給与などの形で公平に分割しやすいというのも大きなメリットです。さらに生前贈与もしやすいというのも株式の良いところです。

 

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土地活用の選択肢として注目される「ガレージハウス」

 

何も使われていない土地や空家というのは相続人にとっては悩みや負担になる可能性もあります。そういった意味でも不動産を上手に活用していくことは有効な相続対策になります。

 

しかし、不動産というのは、立地によって大きく利用価値が変わります。活用していこうとしても思うように活用できないということが大いにあるでしょう。特に相続で引き継ぐ土地というのは、自分が購入した不動産と違って、もともとの不動産の条件は自分で選べません。受け継いだ不動産の現況に応じて、どのように活用していくかということを考えていく必要があります。

 

土地活用と聞くと、賃貸アパート経営をイメージする人が多いでしょう。駅から近く、学校や会社も近くにあり、通学や通勤をする人の入居が見込めるような立地であれば、賃貸マンションなどを建てて収益化を目指せます。しかし土地の条件を満たさず、その活用法に悩むというケースのほうが、むしろ多いかもしれません。またアパートを一棟建てるとなると費用は高くなりますし、借入をすることがほとんど。その賃貸経営を子や孫に引き継いでいくことを考えると慎重にならざるを得ません。

 

そんな時の選択肢の一つになるガレージハウスです。ガレージハウスとは車庫と住居が一体となった住宅のことをいいます。長屋タイプと戸建てタイプがあるので、土地の広さによって選ぶことができます。

 

ターゲットは車のコレクターや、アウトドア用品の収納、ホームジムなど、趣味としてガレージを必要とする人で、立地が多少不利でも入居を希望し、一定の需要が見込めることから、一般住宅と比べて家賃をやや高くすることが可能です。また物件の希少性から、入居期間も長くなり、空室リスクがぐっと低くなります。通常の賃貸住宅では立地的に難しい土地でも、安定した賃貸経営が叶うと注目されているのです。

 

賃貸経営には色々な形がありますが、人口減少していく現状をみると、「需要>供給」になるような魅力的なスタイルを選ぶことがポイントになります。

 

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