大黒柱を失った家族にとって、公的保障となる遺族年金はなくてはならないもの。多くの人が対象になるように制度設計がされているものの、対象外となり「遺族年金ゼロ円」というケースも。遺族年金がもらえない、主なケースをみていきましょう。
月13万円もらえるはずが…夫を亡くした45歳妻「遺族年金のルール」を知らず、年金事務所で請求却下「えっ、何かの間違いでは?」

年金事務所に「遺族年金は支給されません」といわれる「3つのケース」

残された遺族の強い味方となる遺族年金。しかし誰もが受け取れるものではありません。年金事務所に請求手続きにいったところ「あなたは受給要件から外れているので、遺族年金は支給されません」と跳ね返されることも少なくないのです。では遺族年金がもらえない主なケースについてみていきましょう。

 

①子の要件を満たしていない

子供がいないケースはもちろん、子供が18歳を迎えた年度を超えてしまったなど年齢要件に合わない、子が結婚している……このような場合、「子の配偶者」の要件を満たさないので、支給されません。

 

②生計維持が認められない

遺族年金は死亡した人に生計を維持されていた遺族に支給されるもの。生計維持は「①年収850万円未満または年間所得655万5000円未満」「②死亡した人と住民票上同一世帯、または別居でも家計をひとつにしていた」という2つの要件を満たしていないと認められません。

 

③保険料が未納

保険料の納付要件には「①亡くなった日の前々月までの保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること」「②亡くなった日が2026(令和8)年3月末日までのとき、亡くなった方が65歳未満の場合、亡くなった日の前々月までの直近1年間に保険料未納がないこと」の2つがあり、これを満たさないと遺族年金はもらえません。ちなみに保険料の免除を受けている期間は、加入期間とみなされます。また亡くなった人が老齢基礎年金の受給権者や受給資格を満たしていた場合、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが支給要件となります。

 

遺族厚生年金も①~③の要件を満たしていることが必要。さらに子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給可能。さらに会社員の妻を亡くした夫の場合、妻が死亡した当時に55歳以上でなければ対象とならず、また受給開始は60歳以上となります。ただし、遺族基礎年金を合わせて受給できる場合は55歳以降から受給できます。

 

遺族年金を請求しようと年金事務所に行ったら請求却下で撃沈。「えっ、何かの間違いでは?」とならないよう、自身に、そして配偶者に万が一のことがあったら残された家族に遺族年金が支払われるかどうか、くらいは調べておいても損はなさそうです。

 

[参考資料]

公益財団法人生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』

日本年金機構『遺族年金』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』