子供の大学進学を機に激減する「ひとり親」への遺族年金額
一家の大黒柱を亡くしたひとり親世帯。子供が小さいうちは何かと保障が大きいですが、成長するにしたがって公的保障は小さくなっていきます。
――長男の大学進学が決まりました!
そう投稿した、40代女性。8年前に夫を亡くし、以来、母子二人三脚で頑張ってきたといいます。そして今年、第一志望の大学に合格。晴れて大学生になることができたそうです。
ただ「分かっていたけど、このタイミングで収入が100万円近く減るのは、かなり痛い」と女性。100万円というのは、遺族基礎年金。子の要件である「18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人」からは外れてしまい、遺族基礎年金の支給は、この春からなくなってしまったわけでです。
大学の進学にあたり、初年度の納付金は、国公立でも年80万円強、私立文系で120万円弱、私立理系で150万円強。かなりの金額です。確かにここで年間100万円の収入減には、思わず悲鳴をあげてしまうほどのインパクト。
【大学初年度納付額】
◆国立大学:81万7,800円
(内訳)入学金:28万2,000円、授業料:53万5,800円
◆私立大学(文系学部):118万8,991円
(内訳)入学金:22万5,651万円、授業料:81万5,069万円、施設設備費:14万8,272万円
◆私立大学(理系学部):156万6,262円
(内訳)入学金:25万1,029円、授業料:113万6,074円、施設設備費:17万9,159万円
◆私立大学(医歯系学部):489万0,539円
(内訳)入学金:107万6,278万円、授業料:288万2,894円、施設設備費:93万1,367円
――ごめん、やっぱり無理。うちにはお金がない……大学は諦めて
そう息子に懺悔する母。ただ最近話題を呼んだ「大学の無償化」が、ひとり親世帯を救います。「大学の無償化」は、返済の必要がない「給付型奨学金」と「授業料等減免」がセットとなった「高等教育の修学支援制度」のことで、24年度からはその対象が多子世帯や理工農系の中間層に拡大しました。
支援額は世帯年収で変わり、たとえば世帯年収が270万円未満(目安)の場合、支援額の上限が授業料免除70万円、給付型奨学金91万円。収入などの要件のほか、進学先で学ぶ意欲がある学生かどうかなども審査の対象となりますが、十分に大学に通えるだけの支援が受けられます。
――ひとり親だから……
そんな理由で大学進学を諦める必要はないのです。
[参考資料]