「老々介護」はもう限界!…実家で父の介護を担ってきた65歳のAさん

65歳のAさんは、高校卒業後に就職した工場を60歳で定年退職したあと、再雇用で65歳まで勤めあげました。高校時代からバイクが大好きだったAさん。社会人になってからは暇さえあればツーリングやバイクのカスタムに没頭していたため、老後に向けた資産形成などは一切してきませんでした。もっとも、年金は月13万円と、余裕のある生活は送れませんが、なんとかやっていけそうです。

そんなAさんには、90歳になる父親がいます。父親の年金は月10万円ほどで、数年前から介護が必要な状況です。Aさんはひとりっ子で、また母親も早くに亡くしているため、周りに頼れる身内がいません。なるべく費用を節約しようと自分の力だけで父親の介護を頑張っていたAさんでしたが、自身も60歳を超え、老々介護に限界を感じたことから、父親を施設に入所させたいと考えるようになりました。

父親にそのことを伝えると、「施設に入れるような余裕はないだろう」となかなか首を縦に振りませんでしたが、必死に説得。結局、父親の年金の範囲内で生活できる「サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)」へ入居させることを決断しました。しかし……。

施設へ入居してからほどなくして、父親は自分の力で食事が摂れなくなってしまったのです。そのため、いったん近くの病院へ入院して鼻からチューブを挿入して栄養を摂る、「経管栄養法」をとることになりました。

無事手術を終え、父は元の施設へ戻りましたが、その月に施設から請求された金額が非常に高額で、Aさんは驚きを隠せませんでした。

施設費用が高額に…入居から半年で「退去勧告」を受けることに

医療行為は、基本的には医療職である看護師が行います。高齢者施設には看護師が24時間体制で常駐しているところもありますが、Aさんが父親を入れた施設は看護師がいません。そのため「訪問看護サービス」を利用することになったのでした。「訪問看護サービス」は外部のサービスであることから、月々の利用料はそれだけ高額となります。

その事実を聞いたAさんは、思わず「そんな……この施設の利用料は月10万円だって言っていたじゃないですか。オプションなんて聞いてない」と狼狽。

Aさんは、自身の貯蓄を取り崩しながらなんとかその分を払っていましたが、もともと月10万円もギリギリだったAさんは限界を迎え、わずか半年で施設から退去勧告を受けることになってしまいました。

「自分の生活だけで精一杯なのに、これからどうすればいいんだ……」窮地に陥ったAさんは「なにか良い案はないか」と、知り合いのファイナンシャルプランナーである筆者のもとへ相談に訪れました。