誰だって老いたくないですよね。約16万人に生活期のリハビリを提供した経験をもつ理学療法士の上村理絵氏は著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)にて、勝手に老化予防できる環境づくりを提案しています。今回はその一部を本書から抜粋して紹介します。
「自己肯定感」の低さが「老化」を招く!〈週2日やるだけ〉心と体の「老化」をまるごと「改善・予防」する方法【理学療法士が助言】
高齢者こそ仲間づくりは必要
皆さんも小学校などで仲間をつくることの大切さを学んだかもしれませんが、積極的にコミュニティーに参加し、仲間づくりに励むことは、高齢者にこそ、より必要だと感じています。
なぜなら、社会とのつながりを失うことが、老化により心身が衰えた状態である「フレイル」の最初の入り口になるといわれているからです。
誰ともかかわらなくなることで、「自分はいらない存在ではないか」という思いが募り、自己肯定感が低くなって、「精神的な老化」が進んでいく。
人と会わなければ、生活範囲も狭く、その分、体を動かさなくなるので、筋力は低下し、「肉体的な老化」が進む。
人としゃべらないから、口を動かさず、口腔機能が衰える。そのため、固いものが食べにくくなったり、口が疲れやすく量が食べられなくなったりして、栄養が偏る。栄養が偏ることで、病気のリスクが高まる。このように、社会とのつながりを失うことによって、肉体的・精神的な老化が一気に進み始めるのです。
他人と積極的にかかわることが大事
このような社会とのつながりが薄れることに端を発する老化をフレイルドミノといいます。
「静岡県高齢者コホート調査に基づく運動・栄養・社会参加の死亡に対する影響について」という研究では、地域のボランティア活動などを週に2日以上行う社会参加をすることは、運動習慣と同じくらい、高齢者の死亡率低下に影響を与えているという結果が示されました。
今では、高齢になっても参加できるコミュニティーやボランティア活動が数多くあります。
地域の公共機関や自治体のウェブサイト、市報や区報などに情報が掲載されているので、チェックし、参加を検討してみてはいかがでしょう。
大切なのは、他人と積極的にかかわろうとする姿勢です。
性格的に他人に話しかけるのが苦手でも、おしゃれをしてそういう場に参加するだけで、脳と体に非常にいい刺激になり、老化を改善・予防することにつながります。
上村 理絵
理学療法士/リタポンテ株式会社 取締役