まさかの大腸がんに! どうする医療費

長生きのリスクにおびえるAさん(67歳男性)。経済的な不安から、貰える年金を少しでも増やそうと年金の繰下げ待機中です。

現在は警備のアルバイトをしており、日々節約しながら暮らしています。食事にも気を使い、仕事がない日はウォーキングを欠かさないなど、健康にも留意していました。

しかし……先月受けた健康診断で大腸がんが発覚。まとまったお金が必要になりました。

Aさんは独身で兄弟姉妹もなく、頼れる親族もいません。がん保険への加入もありません。体調が優れないため、アルバイトを続けることは困難です。

そこで、まずは少しでも収入を得ようと年金の繰下げ待機を止めることにしましたが、年金事務所で事情を話すと職員さんから思わぬ情報を得ることができました。

さて、その情報とは?

どんどん増える働く高齢者

人生100年時代を迎えました。高齢期にも働く方が増えています。Aさんもその1人。

厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」によると、令和4年の労働力人口のうち65~69歳の方は395万人、70歳以上の方は532万人となりました。労働力人口総数に占める65歳以上の方の割合は上昇傾向にあります。

参考:厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」
[図表1]労働力人口総数に占める65歳以上の方の割合 参考:厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」

同白書から男女別に就業状況をみてみると、男性の場合、就業者の割合は60~64歳で83.9%、65~69歳で61.0%。年金の受給開始年齢である65歳を過ぎても多くの方が就業していることが分かります。また、女性の就業者の割合は、60~64歳で62.7%、65~69歳で41.3%となっています。

ちなみに70~74歳では、男性の就業者の割合は41.8%、女性の就業者の割合は26.1%です。

こうした高齢期における就労の拡大を踏まえ、令和4年4月、老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引上げられました。個々人の就業状況にあわせ、年金の繰下げ制度をより柔軟で使いやすくするための改正です。