新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は、発症や重症化を防ぐのに有効であることが証明されています。一方で、副反応の報告が増えていることもたしかです。本稿では、2012年の上皇陛下(当時の天皇陛下)の心臓手術を執刀した経験もある心臓血管外科医の天野篤氏による著書『60代、70代なら知っておく 血管と心臓を守る日常』(講談社ビーシー)から一部抜粋し、新型コロナウイルスのワクチン接種と心臓トラブルの関係性について解説します。
60代、70代は要注意…新型コロナの“ワクチン接種”を機に増加した「ある恐ろしい心臓病」【上皇陛下執刀医が解説】
接種を機に隠れていた症状が表面化することも
ワクチン接種後に心血管障害、脳血管障害、血栓症が確認されたケースも
新型コロナウイルス感染症は、2023年、感染症法上では5類感染症となりましたが、高齢者にとってはまだまだ用心すべき感染症です。これまで無料で実施されてきた日本のワクチン接種は今後、季節性インフルエンザと同じように、希望者が一部負担金を支払っての接種となる模様ですが、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ効果があるのは間違いなく、現時点ではウイルスから自分の身を守る最善の手段といえるでしょう。
いっぽうで副反応の報告が増えているのもたしかで、ワクチン接種後に心血管障害、脳血管障害、血栓症が確認されたケースも見られます。今のところワクチン接種との因果関係はわかっていません。ただ、ワクチン接種による免疫反応などで高熱が出ることを見ても、一部の方には健康被害に属するダメージを与えている可能性もあります。
何分、mRNA(エムアールエヌエー=メッセンジャーアールエヌエー)という”タンパク質の設計図“の入った遺伝子情報を投与するタイプの集団接種ワクチンは、新型コロナワクチンがはじめてなので、副反応も手探り状態なのです。一部の方でこれまでは表面化していなかった心臓や血管のトラブルが、ワクチン接種をきっかけに表に出てしまった可能性も考えられます。