ワクチン接種後に血圧の上昇を訴える人が増えた

実際、「ワクチン接種後に血圧が上がった」という患者さんが増えています。また、大動脈解離で救急搬送される患者さんも、これまでは1か月に1件あるかないかだったのが、多い月では2~3件に増えていた印象です。大動脈解離は前ぶれなく血管が裂けて解離し、1度目の発症で突然死する危険がある疾患です。血圧が高く、上行大動脈(心臓から出て上に向かう動脈)が太くなっている人に多く見られます。

そんな大動脈解離の患者さんが増えているのは、コロナ禍の巣ごもり生活で血圧の管理が不十分になっていることに加え、ワクチン接種による血圧上昇が引き金になっているケースもゼロとは言い切れません。しっかりした調査と解明が必要です。

そうはいっても、ワクチンは新型コロナから命を守る有効な手段です。だからこそ、心臓や血管にトラブルが起こる可能性もゼロではないと想定して対策を講じたうえで、ワクチン接種に臨むのが理想的といえるでしょう。

まずは心臓ドックなどの検査を受けて、自分の体の基礎データをきちんと把握しておくことが重要です。心臓血管系では心電図、心エコー、心臓CTの3つの検査で正常なのか異常 があるのかどうかがわかります。これにブラスして頭部MRIで脳血管の状態を確認しておけば安心です。血管トラブルが起こったときに命にかかわるのは心臓、脳、大血管ですから、 検査を受けて自分がそれぞれどんなリスクを抱えているのかをチェックしておきましょう。