「家族のために、家を片づけたい!」そう決意して、ものを捨て続けた結果……かえって家族間の空気が悪くなってしまった経験があると、『イツカを手放してイマを身軽に生きる方法』(エムディエヌコーポレーション)の著者で整理収納アドバイザーのみや氏はいいます。「家族で暮らす家」を片づける際に大切なポイントを、筆者の実体験をとおしてみていきましょう。
「家族が喜ぶ」と、妻が〈家の片づけ〉に奮闘した結果…家族間の空気が悪くなったワケ【整理収納アドバイザーの実体験】
“ものが心を満たしてくれる”という「幻想」
いまでこそ「ものが少ない暮らし」をしている私ですが、約4年前までは、部屋のあっちこっちにもの、もの、もの! いまの住まいは、収納場所も多いのですがまったく収まりません。常にものが散乱している状態が「当たり前」だったのです。
そんなものがあふれる暮らしのはじまりは、約20年前にさかのぼります。社会人になって自由なお金を手にした私は、服、バッグ、靴…見るものをホイホイと毎月、毎月購入していました。
当時は実家暮らしでしたが、部屋には常に服が山積み…。あまりの浪費ぶりを、母が心配するほどだったのです。そして、その浪費グセは結婚後も変わらず、つい4年前まで続きました。
値札がついたままの服もチラホラ…膨大な数の服は「ほぼ着ていない」
ところでそんな膨大な数の服を着る機会があったのかというと…ほぼ着ていません。だから値札がついた服もたくさん!
これはのちに自分と向き合ってはじめてわかったことですが、私は必要だから買っていたのではなく「買うこと」「所有すること」が目的になっていたんです。モヤモヤ、イライラ、満ち足りない。その心のざわつきや隙間を「ものが満たしてくれる」「服が幸せにしてくれる」そんな幻想を抱いていたのだと思います。
ところがものが増えるほどに部屋は散らかり、目の前の雑念も増すばかり。満たされるどころか、心もどんどん荒れていきました。それでも当時は不要なものを買っているとはまったく思えず…。
「あふれるものも苦しみの種だった」それに気づいたのも、ものを減らしてからでした。
あちこちの収納が、ギュウギュウ詰め!
4年前のわが家は、私のクローゼットをはじめ、あちこちの収納にものがいっぱい。詰め込めるだけ、詰め込んでいたので扉を開ければものが崩れ落ちてきたりすることも。もちろんどこに何が入っているかもわかりません。さらに収まり切れないものが、部屋のなかにもあふれていました。