少子高齢化による人口減少に伴い、空き家の増加が問題となっています。自分の死後、今住んでいる自宅がどうなるか考えたことはありますか?遺される家族にとって不動産は、資産としてのプラスの面だけでなく、相続問題や空き家の維持コスト等、マイナスの面もあるため、元気なうちに考えておかなければ後々家族に迷惑をかけることになるケースも……。そのようななか、自宅を生前に売却するという選択肢もあります。今回は、住みながら住宅を売却できる「リースバック」について、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が解説します。
「息子に迷惑をかけたくない」年金暮らしの70歳男性…自宅を“住みながら売却”したワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

年金暮らしの70代夫婦、「リースバック」を選択

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

Aさんは大阪府在住の年金暮らしの70歳男性です。住宅ローンがすでに完済している駅から徒歩15分の戸建て住宅に妻と2人で住んでいます。40代の息子が2人いますが、2人とも結婚して独立しており、Aさんとは離れた土地にそれぞれ家族と住んでいます。

 

Aさんは60歳で定年退職となったあと、嘱託職員として昨年まで働いていました。Aさんは元気なのですが、2歳年上の妻が5年前から介護状態となり、介護費用にお金がかかっています。

 

先が見えない今後に不安を感じたことから、妻の介護費用と将来の自分自身の高齢者施設への入居資金も確保するために、まとまった資金を手に入れられるリースバックを選択しました。

 

先述のとおりリースバックは自宅の売却が先に済みますので、将来の不動産価値の下落も気にする必要がありませんし、いざ施設への転居となった場合も慌てて売り急ぐ必要もありません。Aさんが将来高齢者施設に入居するときが来た場合にも、息子達に自宅の管理や処分といった負担をかけたくない、というのも大きな理由です。

 

Aさんは、「リースバックはメリットばかりではないかもしれませんが、いろいろ検討した結果私にとっては自分の意向に合う良い選択ができたと思います」と喜んでいます。

 

このように、空き家が増えていく日本の実情を踏まえ、自身の将来のみでなく、子ども達世代への「迷惑をかけたくない」という配慮も含めて、リースバックを利用する方も増えてきています。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表