「今日はどうしても勉強する時間を確保できなかったなあ…」という日もあるもの。そんなときは聴覚を利用した勉強法が効果的です。脳内科医の加藤俊徳氏の著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)より本文を一部抜粋して、 解説します。
「今日は勉強できなかった…」とネガティブな気分でベッドに入る前に!試してほしい〈脳の働き〉を活かした勉強法【脳内科医が解説】
就寝前に復習したらそのあとスマホを見てはいけない
よく知られているように、眠りには浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、これを1セットとして一晩に何度か繰り返しています。
人の脳は眠っている間にも活動し、浅い眠りの「レム睡眠」のときに記憶を再生・整理し、深い眠りの「ノンレム睡眠」時に長期記憶を形成するとされています。
レム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れるような睡眠のリズムが整っていないと、人は賢くなれないのです。この睡眠のシステムを利用して、眠る前に頭の整理をすることで、より記憶は定着しやすくなります。
毎日、寝る1時間くらい前に、覚えたいことを振り返って、整理してみます。
これだけでも記憶系を働かせることができておすすめですが、さらに一歩踏み込んで、これはしっかり記憶しておきたいという内容について、復習するようにします。
声に出すことで聴覚系脳番地を働かせ、海馬に「これは重要だから覚えておいてね」というメッセージを送り、寝ている間に記憶に定着しやすい状況を作っておくのです。
ここで注意したいのは、記憶に定着させたいことを復習したら、他の情報をなるべく入れないようにすることです。
脳には、より最新の情報を上書きするような仕組みがあります。
なので、ベッドに入ってからスマホをいじったりしてしまうと記憶の撹乱が起きて、覚えておきたかったことの定着率を下げてしまうのです。
1日の終わりに今日を振り返ったらさっさと寝る。
これが記憶力を高める寝る前の勉強法です。
また、脳番地を働かせるという観点からも眠りは重要です。
日中の脳は、神経細胞やグリア細胞(神経細胞以外の細胞の総称)などの活動で埋め尽くされ、疲労物質などが溜まりやすい構造になっています。
ノンレム睡眠時は脳内のごみ処理も行われるため、疲労物資が排出されやすい環境です。認知症にも関わるアミロイドβやタウタンパクの排出にも深く関わっているため、しっかり眠ることが脳の健康には欠かせません。
生体リズムの観点からは、22時には眠るのが望ましいのですが、ビジネスパーソンにとっては少し難しいと思うので、できれば23時、遅くとも日付が変わる前に眠ることを心がけましょう。
ちなみに、アメリカの睡眠財団では26〜64歳の推奨睡眠時間を7〜9時間としています。しっかり7時間以上の睡眠を確保することも大人の勉強法には必須です。
加藤 俊徳
加藤プラチナクリニック院長/株式会社脳の学校代表
脳内科医/医学博士