定年後、タワーマンションを現金で購入した63歳の山崎さん(仮名)。感動の“タワマンライフ”を満喫していましたが、わずか3ヵ月で大後悔。…『60歳からのマンション学』(講談社)より、戸建てからタワマンに買い替えた60代夫婦の事例を、著者の日下部理絵氏が解説します。
63歳元公務員「自慢のわが家だ」→大後悔…現金購入のタワマンで“感動の暮らし”が一転、わずか3ヵ月で“憂鬱な毎日”となったワケ【マンショントレンド評論家が解説】
山崎夫妻が“タワマン住まい”を決めた理由
マンション(タワマン)にした理由は、まずは利便性である。戸建て住まいの時は駅から遠く車での移動が必要であった。徒歩6分ほどのところに路線のバス停もあったが、バスの便数も少なくあまり利用はしていなかった。とにかく何をするにも駅に行くまでが一苦労であった。
また戸建ては2階建てで、いまは元気だからいいが、将来足腰が弱った時に2階まで階段をスムーズに昇り降りできるか、階段から落ちてケガなどしないか、それに昔、空き巣に入られセキュリティが気になっていたこともある。また夫婦二人で住むには広すぎて、智子さんも掃除が大変だという。
気力・体力ともに元気で、時間があるいまのうちに、駅から近く、セキュリティにも強くてエレベーターがあり、ワンフロアでフラットに住めるマンションに買い替えようということになった。戸建て住まいが長かったが、管理員として働いたことで、マンション住まいも悪くないなと思ったのも大きい。
昔から「時間ができたら夫婦水入らず全国の温泉巡りをしたいね」と話していたこともあり、いままでの最寄り駅にはこだわらず、特急や新幹線の停車駅を中心にマンションを探した。
そして買い替えたのが、いま住んでいるタワマンである。購入を検討する際、コンシェルジュや警備員がいる24時間の有人管理のところを探した。防犯カメラやオートロック、エレベーターも非接触キーを持っている人だけが乗れ、最寄り階や共用施設がある階にのみ停止するなど、セキュリティ対策も万全。鞄などから鍵を取り出さずにオートロックを通過できる「ハンズフリーキー」の採用はすごいと思った。
コンシェルジュカウンターではクリーニングや宅配便の集荷などのサービスがありホテルライクな住まい。
それに宅配ボックスやスポーツジムもあり、ゲストルームに安価に泊まれるのも魅力的。モデルルームも豪華で最寄り駅からも3分とすべてがキラキラして見えた。
元公務員の修さんが、タワマンを「現金で購入」できたワケ
麻衣さんと拓也さんに「戸建てを売ってマンションに買い替えようと思うんだ。しかもタワマンなんだが」と相談したところ2人とも大賛成。父さんも母さんも元気なアクティブシニアなんだからというのが理由らしい。特に拓也さんには「いいな〜俺が住みたいぐらいだ」と羨ましがられた。
購入費用に関しては、戸建ての売却資金と退職金で、現金で購入することができた。いま思えば公務員寮に10年以上住み、その際に貯金できたのが大きかったと修さんは思った。