誰しもが直面する加齢について「実年齢よりも主観的な年齢が大切」であると、心理学者の内藤誼人氏はいいます。健康に過ごすためにはどのような心がけが重要なのでしょうか。内藤氏の著書『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)より、老後に向き合う考え方のヒントについて見ていきましょう。
「心の持ちよう」で身体は大きく変わる!?老化を食い止める大切な“思い込み”とは【心理学者が解説】
実年齢より主観的な年齢が重要
自分が今年何歳になったのかを意識する必要はありません。
誕生日を迎えるたびに、「あぁ、もう〇歳になってしまったのか……」とため息をついてはいけません。実年齢は気にしなくてよいのです。
それよりも大切なのは、主観的な年齢です。
かりに70歳になっても、「私は50歳くらい」と思っていると、ポジティブな自己暗示の効果が発揮され、肌も若々しいままでいられますし、本当に50代の心肺機能を維持することができます。
ドイツにあるマックス・プランク研究所のダナ・コッター=グルーンは、70〜100歳の439名の高齢者に、「あなたは自分が何歳くらいだと思いますか?」と主観的な年齢を聞いてみました(主観的な年齢は0〜120歳の間で答えてもらいました)。
その結果、自分の実年齢よりも、ずっと若い年齢を答えた人ほど、その後16年間の追跡調査で亡くなりにくいことがわかりました。つまり、本人が「若い」と思っている人ほど長生きができたのです。
自分の主観的な精神年齢は、思いっきり若いと信じていたほうがいいですよ。
だれに迷惑をかけるわけでもないのですから、2、3歳ほど若いと感じるのではなく、それこそ5歳も10歳も若いと感じるようにしましょう。
「私はもうすぐ還暦だが、主観的な精神年齢は20歳」というように、40歳も若いと感じるようにするのもいいですね。
私たちの身体は、心の持ちようによって変わります。
本人が若いと思っていれば、いつまでも若々しいままでいられるのです。かくいう私は、もうすぐ50歳になりますが、主観的な年齢は35歳くらいだと信じるようにしています。そのためでしょうか、心身ともに健康ですし、元気いっぱいで精力的に仕事をすることができています。
だれかに年齢を聞かれたとき、年齢でサバを読もうとすると「ウソつき」になってしまいますが、本人が勝手に若いと思い込んでいるだけなら、ウソつきにもなりません。ですので、自分自身については思いきり若い年齢であるかのように思い込むようにしてください。
ここで1つポイントをお伝えします。
「もっと若くなりたいなあ」という願望で考えないようにしましょう。なぜなら、「若くなりたい」という願望は、「今は若くない、老けている」と脳が認識してしまうからです。つまり、願望ではなく、「私は若い」という思い込みを持つことが重要です。
実際に自分が何歳になるのかなど、考えなくてかまいません。
実年齢よりも主観的な精神年齢のほうがはるかに大切ですので、とにかく「私は若い」と内面の心で感じることがポイントです。
内藤誼人
心理学者