認知症は身近な病気

高齢になればなるほど、気になってくるのは認知症です。

厚生労働省の調査によると、2012年時点での65歳以上の認知症の人は、約462万人いるとされています。現在60歳前後の人はもちろん、高齢の親を持つ人には気になるテーマのひとつでしょう。

やる気こそが脳を刺激する

現在の医学では、認知症を完全に治す方法は見つかっていません。それゆえ、予防がとても重要とされています。

では、認知症予防について問題です。次に挙げる2つでは、どちらが認知症の予防につながるでしょうか?

①手で握るタイプのツボおし健康器具を毎日握る

②週1回、パチンコをたしなむ

正解は②です。

よく、認知症予防には、「手を使うことが、脳に刺激を与えるので大切」だと言われます。

その意味では、①もあながち間違いではありません。少なからず、認知症予防の効果はあるでしょう。

しかし、いくら効果があるものでも、その人にやる気がなければ、脳への影響は少なく、認知症予防の効果は激減してしまいます。

一方でパチンコは、玉を出したいという気持ちがわいてくるものですし、好きで行っている人が多いので、やる気が起こるという点でとても有効で、脳へ良い影響を与える刺激となります。

私がフィールドワークを行った老人ホームの内部では、入居者がパチンコと麻雀、バカラを楽しめるようになっていました。

この3つのどれが認知症予防に効果的かと言うと、どれも効果があったそうです。勝負に対する執着、お金に対する執着心が、脳への刺激になるということが分かっています。勝ち負けに特にこだわらず、適当にゲームをしていては効果が期待できません。

ただし、熱くなり過ぎると、そのストレスで心筋梗塞が起こることも考えられるので、リスクとのバランスを考えて適度にたしなむ程度にしておきましょう。

大切なことは、自分で考えたり、仲間と話したりする趣味を見つけ、それを心から楽しむことです。

【ポイント】

認知症予防には、脳を活性化させることが大切。効果を求めて義務的にやるのではほとんど意味がない。その点、パチンコや麻雀は勝負への意欲を生じさせるので効果的。

ギャンブルのもつリスクとのバランスを考えて適度に楽しむようにしよう。

秋津 壽男

医師