日本酒はボトルの表と裏に貼ってある「ラベル」に、たくさんの情報が書かれています。データの見方がわかれば、味わいが頭の中で想像でき、自分好みの日本酒銘柄を見つけるのに、きっと役立つことでしょう。葉石かおり氏監修、近藤淳子氏著、『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、日本酒の種類とラベルの見方について解説します。
日本酒の“プロフィール”ともいえる「裏ラベル」だが…
続いて、その日本酒のプロフィールともいえる裏ラベルについてです。裏ラベルには原材料名、精米歩合、アルコール度数、使用酵母、日本酒度、酸度、アミノ酸度、容量、製造年月、製造者の名称、製造所の所在地などが記載されています。
ただ、「裏ラベルの先入観だけで飲んでほしくない」と考える蔵元も増えており、それが私の記憶に強く刻まれています。日本酒を新鮮な気持ちで感じてほしいと、お酒のラベルには最小限のデータしか記載しないケースもあります。ラベルの情報は、あくまでも一つの目安であることも覚えておいていただけるとうれしいです。
次に、裏ラベルのデータについて説明します。日本酒度とは、甘い↔辛い(スイート↔ドライ)の指標です。日本酒の糖分の比重をプラスマイナスで表現します。傾向としては、プラスの数値に向かえば辛くなり、マイナスの数値に向かえば甘くなります。
酸度は、日本酒に含まれている有機酸の量です。冷やすとおいしいリンゴ酸、クエン酸、温めるとおいしいコハク酸、乳酸など、多種多様な有機酸が含まれています。酸度と日本酒度の関係性は深く、この2つの組み合わせによって、大まかな酒質がわかります。日本酒度がプラスに高く、酸度が低い場合は、淡麗辛口。日本酒度がプラスに高く、酸度が高い場合は、濃厚辛口となります。
アミノ酸度は、まさに日本酒の旨味のもと。昆布やチーズに多く含まれるグルタミン酸もアミノ酸の一種です。日本酒には、白ワインの約10倍のアミノ酸が含まれています。
前述したように、ラベルの情報はあくまでも目安です。最終的にはご自身の舌で、その味を確かめていただくことをおすすめします。
近藤 淳子
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
副理事長、フリーアナウンサー
葉石 かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
理事長 酒ジャーナリスト、エッセイスト

