いま住んでいるマンションの売却を見据えた場合、高く売りたいと考えるのは当然のことです。今回は、『60歳からのマンション学』(講談社)より、資産価値を維持・向上させるためのポイントについて、著者の“マンショントレンド評論家”日下部理絵氏が事例をもとに解説します。
いま自分が住んでいるマンション、高値で売れる?資産価値を左右するポイント【マンショントレンド評論家が解説】
マンションの価値は「管理」が左右する!?
面倒だし、本当は引き受けたくないが…管理組合の役員、辞退はできるのか
加藤さんが「面倒だな……」と思いながらも渋々引き受けた管理組合の役員。
役員とは、理事(理事長や副理事長及び会計担当理事などの役職)と監事の総称をいう。もしどうしても引き受けたくない場合は、辞退できるのでしょうか。
原則はNGです。誰もが納得するような個別事情を説明したり、マンションによっては協力金などを支払うことで、回避できる場合もあるが、自身のマンションを知る良い機会だと捉えて、前向きに取り組むのをおすすめしたい。もし「私は高齢だから……」というのであれば、その旨をはっきり伝えて負担のない役職を選ぶのもひとつの手だ。
そもそも必要?…管理組合の役員を決めなければいけないワケ
そもそもなぜ管理組合の役員が必要なのか。管理組合に関する重要なことは、総会で決議をする。しかし予測できない突発的なトラブル対応や日常の管理状況の確認などすべてにその都度、区分所有者全員が集まって決めるのは現実的ではない。
そのため管理組合の代表として総会で役員を選任する。役員の決め方は、「その都度、立候補制」もしくは、加藤さんのマンションのようにあらかじめ決められた「輪番制」が多い。
なお、協力金とは、ざっくりいうと不公平感をなくすため決められた金額を支払うことで役員を辞退できたり、外部に住む方は居住者より書類送付などの手間と費用がかかるので、通常の管理費等とは別に上乗せして支払うお金をいう。
訴訟が起こる事例も…協力金の導入はまだまだ少数派
いままで役員の資格要件は、「現に居住している区分所有者」である管理組合が多かった。そうすると賃貸に出している人などは役員をせずに、居住している人だけに役員の負担がくる。
役員のなり手不足を解消するためにも、役員に支払う役員報酬とともに導入している管理組合もある。ただし、協力金導入に関しては訴訟が起こる事例も出ておりまだまだ少数派である。