コーヒーを自分好みの味に仕上げる方法

「コーヒーの抽出」とは、豆の中にあるコーヒー成分をお湯の中に引き出すことです。粉状になったコーヒーの粒にお湯が触れることで、粉の中からコーヒーに含まれるさまざまな成分が溶け出します。

この成分にはいろいろな種類がありますが、私は、ミネラル(塩味)、酸味、甘さ、タクタイル(質感)、苦味・雑味の5種類に分けてとらえています。

これらの成分が複雑に混ざり合って口に含んだときの味わいを形成しますが、当然、どの成分が多いか少ないかによって味わいの方向性は変わってきます。ということは、いずれの成分をより多く引き出すか、あるいは引き出さないかをコントロールすることで、自分好みのコーヒーに仕上げることができることになります。

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【図表1】コーヒーの成分 出所:『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ)より抜粋

はじめは塩味、その次に酸味が出てくる

では、抽出される成分をコントロールするにはどうすればいいか。

図2は、コーヒーの味を構成する各種の成分がお湯に溶け出す時間経過をグラフ化したものです。私のコーヒーの抽出メソッドは、基本的にこの考え方に基づいています。

このグラフでわかるように、抽出において最初により多く出てくるのは「ミネラル」です。これはナトリウムやカリウムなどの無機質な成分で、ひと言でいうなら「塩味」。口に含んだときに何となくしょっぱいように感じるものがミネラルで、これが抽出のいちばん初期に多く出てきます。

ミネラルの次に多く出てくるのは「酸味」です。クエン酸やリンゴ酸、乳酸など、酸っぱさを感じさせる成分です。

酸味の後に多く出てくるのは「甘さ」です。

ただし、焙煎された後のコーヒー豆には、糖の成分はそれほど多くは含まれていません。

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【図表2】抽出時間と成分抽出量 出所:『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ)より抜粋

では、なぜ甘さを感じるのか? 酸味の量が穏やかになった時点で味覚が甘さを感じるのか、糖以外の何かの成分によるものなのか、研究が進んでいるところです。ただ、抽出の初期から中盤にかけて甘さを体感できるのは、多くの人が認めるところです。

甘さの次に出てくるのは「タクタイル(質感)」です。これは「粘性」と言っていいかもしれません。脂質や食物繊維などのとろみを感じさせる成分です。

そして、最後に出てくるのが苦味、そして雑味です。

「苦味」はコーヒーの生豆に含まれるカフェインなどが元になっており、コーヒーの味わいを決定づけるものとして有名です。

一方「雑味」は、えぐみや渋み、青臭さなど、一般的には敬遠されがちな要素となるものです。「ネガティブ」という言い方で表現されることもよくあります。