いま、ささいなミスに対して高圧的に怒鳴りつける「中年クレーマー」が増えていると、公認会計士で作家の田中靖浩氏はいいます。この背景にはいったいどんな問題が隠されているのか、詳しくみていきましょう。
ふざけるな!役職定年前の54歳・大手メーカー経理部長が書店で激昂…日本で「中年クレーマー」が増加するワケ【公認会計士が警鐘】
優雅な「年金暮らし」は過去の話
河西氏のような50代クレーマーが増えた背景には、高齢サラリーマンに対する会社の処遇が悪化している事実があります。
この国の会社は「雇用を守る」ことを大切にします。簡単に従業員をレイオフする欧米の会社と比べて、その家族経営的態度は立派ですが、しかしながら「雇用を守る」のは稼ぎがあるからできること。収益力が落ちた会社で「待遇が悪くなる」のは仕方ありません。
かつての栄華を誇った巨大メーカーで役職定年制が導入されたり、年功序列賃金の見直しが行われているのは必然の流れでしょう。日本の会社がかつての輝きを取り戻すならともかく、これからも業績低迷が続くとしたら、高齢社員の冷遇は止まらないことでしょう。では河西氏のような50代はどうすべきなのでしょうか?
定年を控えたシニアが選ぶべき道は…
会社勤めにはいつか「定年」がやってきます。定年の日をもってサラリーマンを引退し、その後は悠々自適な隠居生活を送る──これまではそれが可能でした。しかし、もはやそれは「過去の話」と考えたほうがいいでしょう。
・少子高齢化が進んで財政が厳しい国の社会保障制度
・収益力が低下して高齢者の面倒をみられない会社
・寿命が伸びて定年後も長く生きる本人
これらを考え合わせると「定年まで同じ会社で働いて、その後は年金生活」の常識は崩壊寸前です。だからといって定年前に募集される早期退職に応じ、転職することもそれほど簡単ではありません。
そこで私は「定年後フリーランス」という方法を提案したいのです。
田中 靖浩
作家/公認会計士