自宅でお店のようなコーヒーを飲みたいと思っている人も多いのではないでしょうか? 奥が深いコーヒーの世界……少しの工夫でいつものコーヒーがさらに美味しくなるかもしれません。家庭でも挑戦できる美味しいコーヒーの淹れ方について、著書『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ出版)より、畠山大輝氏が解説します。
お湯を注ぐ回数と時間で味をコントロール
ドリップのお湯を、何回に分けて注ぐかも、コーヒーの味に影響を与えます。
例えば、私の「基本のレシピ」の場合、15グラムのコーヒー粉に対して、合計230ccのお湯を注ぎますが、蒸らしに30ccを注いだ後に、残りの200ccを1回で注いだ場合と、5回に分けて注いだ場合とでは、コーヒーの味や香りはかなり変わってきます。
これは、コーヒーの粉から溶け出す成分が時間の経過ごとに変わってくることと、お湯が注がれるたびに粉が撹拌されることで「抽出力」が上がることが原因です。
これに加えて、抽出を行うトータル時間も、味や香りの違いの決定的な要因になります。
簡単に言えば、時間が短ければあっさりした味、時間が長ければ濃厚な味といったところですが、「おいしさ」という意味ではそう単純なものでもありません。
ちょっと複雑に感じるかもしれませんが、ここがコーヒーのおもしろさの核心とも言える部分なので、ぜひついてきていただければと思います。
サーバーの中で楽しむアロマとは
抽出が終わったら、いよいよコーヒーを味わいましょう。
いきなりサーバーからカップに注いではいけません。ドリッパーからサーバーに落ちたコーヒーは、はじめのほうに抽出された濃度の高い液と、後から抽出された薄めの液が層になった状態で溜まっています。それらをしっかり撹拌して、濃度を均一にしてあげることで、ようやくおいしいコーヒーの状態になるのです。特に多めの分量を淹れたときには、しっかりと撹拌するようにしましょう。
やり方は簡単です。サーバーを持って水平にクルクル回した後に少し傾ければOK。ワインに空気を含ませるためにグラスを回転させますが、あれと同じ要領です。そのほか、スプーンなどを使って混ぜてやるのもいいでしょう。
サーバーを持ってクルクルと水平方向に回転させ、最後に少し傾ければ濃度が均一化します。コーヒーに空気を含ませるような感じで撹拌しましょう。
もう1つ、カップに注ぐ前におすすめしたいのが、撹拌後にサーバーから立ち上るアロマを楽しむことです。口に含んだときのフレーバーとは異なる、繊細な芳香を鼻で感じてみてください。上手に淹れたコーヒーは、きっといいアロマを感じることができます。
カップにコーヒーを注ぐ前に、サーバーの口から立ち上る淹れたてのアロマを楽しみましょう。サーバーはカップに比べてより強くアロマを感じることができます。
畠山 大輝
Bespoke Coffee Roastersオーナー
コーヒー焙煎士/コーヒー抽出士