内臓脂肪の燃焼を助ける「良い物質」とは

内臓脂肪は、生活習慣病やがんを増やす悪い物質の他に、これらの病気になりにくくして脂肪の燃焼を助ける良い物質も作っています。通常は悪い物質と良い物質のバランスが取れているので大きな問題は起こりません。

ところが内臓脂肪は増えるにつれて悪い物質ばかり作るようになり、良い物質が減ってしまいます。こうして病気がしのびよってくるのですが、逆にいうと、内臓脂肪をしっかり減らせば、再び良い物質を作らせることができます。体重を2、3キログラム落とすだけで良い物質が増えるという報告もあります。

これを大原則としながらも、良い物質をある程度増やしてくれる食品がいくつか知られています。そのひとつが玄米で、内臓脂肪に働きかけて良い物質の分泌を増やし、コレステロールを減らす成分が多く入っています。白米ではいけません。玄米を精製して白米にすると、効果が4分の1まで減ってしまいます。玄米が食べにくいなら、玄米を途中まで精製した5分づき米や7分づき米を試してみてはどうでしょう。有効成分を残しながらも、食感が白米と似ているので食べやすいと思います。

もうひとつが、男性として世界最高齢の116歳で亡くなった木村次郎右衛門さんおすすめの大豆です。こちらはまだ動物実験の段階ですが、やはり良い物質を増やして、脂肪の分解を進める成分が豊富です。また、国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究」からは、60歳以上の女性が豆類を多く食べると、10年間に認知機能が低下する危険がほぼ半分になることが示されています。

そして海藻です。海藻に含まれる食物繊維が腸で分解されるときに、脂肪を燃えやすくする成分が作られます。以前は、海藻を食べても、そのまま出て行くだけと考えられていました。それが、近年、日本人の腸には海藻を分解する特殊な腸内細菌がいることが明らかになりました。これはほぼ日本人だけの特徴で、他の国には海藻を分解できる人は最大でも15パーセントくらいしかいないようです。食物繊維には余分なコレステロールを体から出す作用もあるので、しっかり摂取することで動脈硬化の予防に役立ちます。