第一生命HDの初任給が27万6,000円から32万1,000円に引き上げられ、国内大手金融機関では最高となったことが話題です(Bloomberg/2024年1月18日13:00)。人材の獲得競争が激化するなか、優秀な人材の確保や定着につなげることを目的に、給与水準を引き上げる企業は増えています。本記事では、事例とともに、現代における転職の考え方についてCFPの伊藤貴徳氏が解説します。
第一生命「初任給32万円」が話題だが…月収19万円、27歳・エリア採用の営業職員のおたけび「う、うそでしょ?」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ネット系企業からオファーが 

転職サイトに登録をしてすぐに、Aさんへオファーがありました。内容を見てみると、同業他社のネット系企業から面談希望とのこと。 オファー内容に興味が湧いたAさんは面談を快諾し、条件を聞いてみることにしました。 オファー先から提示された業務内容は、営業部長として事業拡大のための中核を担ってほしいとのこと。 

 

これまで課員の育成・管理をメインに行ってきたAさんにとって、会社の事業拡大にダイレクトに携わることができる環境は魅力的でした。それまでの大企業の課長という肩書きは一見聞こえはいいですが、Aさんとしては組織の一部という感覚が拭いきれずにいたのでした。 面談を終えたあと、Aさんは入社を決意します。 

すべてが思いどおりとはならない転職 

転職後の業務内容や会社の雰囲気は気に入っているようですが、思いどおりに行かないこともあるようで……。

 

「実は、年収は200万円ほどダウンします。前の会社と比べると規模が違うので当たり前ではあるんですけどね」

 

働きがいを手に入れた反面、収入はダウン。しかしAさんはこれで満足しているといいます。 

 

「今回のことを機に、いろいろ考えましたが、次の仕事は会社をこれから大きくするところから携われそうなので、やりがいを感じられるのではないかと思います。会社にしても、自分にしても、成長を実感できるというのは私にとって一番のやりがいだったようです。入社してみて、もし合わなければまた転職すればいいと思うので、自分のこれまで培ってきたスキルに自信を持ってしっかり頑張ります」 

 

転職に求めるものは人それぞれです。給与を上げるために転職をする人もいれば、やりがいを求めて転職する方もいます。すべてを満たすことができれば一番いいのですが、なかなか見つけることは難しいです。 Aさんは、彼女なりの落とし所を見つけ、納得した条件で転職に踏み切ることができました。 

 

いまや転職は当たり前の時代になりつつあります。現在の働き方や待遇に行き詰まりを感じたら、転職サービス等に登録して条件などを見てみるのもいいかもしれません。 

 

 

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表