高齢者のあり方が問われる日本。本当は、彼ら・彼女らこそが日本を救うのカギなのでは? 『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏が解説します。
プチ整形もカツラの着用も大賛成!高齢者の「若返り」が日本を救うワケ【東大医学部卒の医師が解説】
高齢化問題の解決策は「若返り」
見た目に関しても、若く見せようとする高齢者に対して、日本の社会にはそれを認めようとしない空気というか、圧力のようなものが感じられます。
ボトックスでシワを取れば、「あの人、整形したわね」といわれますし、薄くなった髪を隠そうとカツラをすれば、「あいつ、ズラだぜ」とさげすまれる。これでは見た目を若くして、街をさっそうと歩こうという気持ちにもなれないでしょう。
こういう高齢者が、おとなしく家にこもって、やがて寝たきりになって、早く消えていなくなったほうが日本はよい国になるとでも思っているのでしょうか。
22年に公開された『プラン75』(早川千絵監督)という映画があります。架空の現代という設定で、日本では高齢化問題の解決策として、75歳以上の高齢者に安楽死する権利(プラン75)が認められたという物語です。プラン75を申請すれば、国のシステムにしたがって安楽死することができます。倍賞千恵子さんが演じた主人公の高齢女性は、職を失い半ば追い込まれるようにしてプラン75を申請します。
映画はこのような社会の是非を問うような内容になっていますが、今の日本社会は安楽死を認めていないものの、高齢者が早く死ぬことを望んでいる社会という点では極めて似ている状況ではないでしょうか。
高齢者が長く生きれば生きるほど、医療費や介護費が国の予算を食いつぶすという状況に対し、国には国民が納得できる解決策がありません。
ではどうすればよいのでしょうか。私が考える解決策は、「若返り」です。要介護の予算が増えているといいますが、元気になる高齢者が増えれば、その増加分を抑えることができるからです。また労働力不足も解消するでしょう。
さらに、プチ整形をするなり、カツラをつけるなりして、見た目をもっと若くしたいなら、どんどんやればよいのです。
自分が若く見えるという満足感は、意欲を高めるので、積極的に外に出て行くであろうし、アタマを使うので認知症になるリスクも減ります。ヨボヨボ老人にならないためには、見た目を若くすることが最優先なのです。
和田 秀樹
医師