同じ年齢でも“若く見える人”と“そうでない人”の差は、いったいどこにあるのでしょうか。『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏が解説します。
60歳からは「肉を食え」…実年齢から“20歳若く見える人”と“20歳老けて見える人”の決定的な差【医師が解説】
ヒトには“60歳で死ぬプログラム”がある?
たんぱく質が不足していると、顔の見た目も老けるし、体も弱ってきます。だから私自身も積極的に肉を食べるようにしているのですが、やっぱり若い頃に比べると、肉がヘビーに感じられるときもあります。胃腸の機能が弱ってくるせいかもしれませんが、どうもそれだけではないような気がします。
筋力低下を防ぐ目的が大きいと思いますが、最近、高齢者にも肉食が勧められるようになってきました。でも人によっては、肉食はキツいという人も少なからずいます。
そういう人は、とくに理由もなく粗食になっていくような気がします。もしかしたら、ヒトは年をとると勝手に粗食化して、たんぱく質を避けるようになるのかもしれません。
ほんの数十年前くらいまでは、60歳前後の年齢でも、老衰で亡くなる人は珍しくありませんでした。
そこから、私は年をとると食が細くなるのは、ヒトには寿命が近づいたら老衰でおだやかに死ねるようなプログラムが備わっているからではないか? と考えるようになりました。いわば、生き物として早く死ぬための自殺行為です。
生き物として早く死ぬための自殺行為として、ヒトはもともと60歳くらいで死ぬようにプログラムされているのではないでしょうか? だから、年をとると肉などのたんぱく質を多く含む食品が食べたくなくなる。それはヒトにもともと備わっている遺伝子のプログラムのせいではないのか? それが私の仮説です。
もしそれが事実だとしても、現代のわれわれはそのプログラムから外れた生き方を選んでしまいました。
実際、今や平均寿命はどんどん上がり、「人生100年時代」とも呼ばれています。それを可能にしたのが、栄養であったり、医療であったりするのでしょう。ヒトという生物が長生きする道を選んだのだとすれば、その次の段階を考えなければなりません。次の段階というのは、死ぬまでの時間が延びた分、何をして生きればよいのかということです。
和田 秀樹
医師