多忙な開業医でも退職金を準備する方法3選
次に、退職金を準備する具体的な方法について、いくつかの制度と特徴をご紹介します。
1.「小規模企業共済」
退職金積立をしながら節税にもつながる優れた制度※です。
※常時使用する従業員の数が5人以下であることが加入の条件。
加入可能な年齢:年齢制限はありません
特徴1:掛金は全額所得控除の対象
特徴2:共済金(=退職金)は「退職所得控除」の対象
特徴3:掛金は月額1,000円~70,000円の範囲内で自由に選択
特徴4:支払済み掛金累計額の7~9割の範囲内で貸付制度の利用が可能
主なデメリット:医療法人化すると継続加入はできなくなります。
加入窓口:商工会議所、青色申告会、都市銀行、地方銀行、信用金庫など
2.「iDeCo」(個人型確定拠出年金)
こちらも退職金積立をしながら節税につながる制度です。
加入可能な年齢:18歳~64歳(65歳未満)
特徴1:掛金は全額所得控除の対象
特徴2:一括受取の場合は「退職所得控除」の対象
特徴3:掛金は月額5,000円~68,000円の範囲内で自由に選択
※ただし、国民年金基金掛金と合算で68,000円のため要注意
特徴4:個人経営も医療法人いずれの経営者も加入が可能
※ただし、法人経営者の掛金は通常月額23,000円が上限
主なデメリット:60歳になるまで、積立金を一切引き出すことができません。
加入窓口:証券会社、都市銀行、地方銀行、信用金庫など
3.「積立型生命保険」
退職金積立と同時に各種保障が得られるので、リスクマネジメントとしても優れた商品です。
加入可能な年齢:保険会社や商品によって異なります。
特徴1:保険料は生命保険料控除の対象(その年に支払った保険料の一部が所得控除となります)
特徴2:満期金や解約返戻金
特徴3:特定疾病に罹患後の保険料積立を、保険会社が代行する特約あり
特徴4:死亡・介護・障害・3大疾病などに対する保険金の確保が可能
特徴5:個人経営の医院・医療法人ともに加入可能
※税制が異なるため専門家によるアドバイスを推奨
主なデメリット:経過年数や資産運用の状況によって、元本割れのリスクがあります。
加入窓口:保険会社、保険代理店、FP事務所、都市銀行、地方銀行、信用金庫など
いかがでしたでしょうか。
上記以外にもさまざまな制度がありますが、最も大切なのはご自身に合っている制度や商品を選ぶことです。
したがって、まず自分が引退後にどのような生活をしたいのか、それにはどれくらいの生活資金が必要なのか、公的年金による収入と、支出の差異を補うにはどれくらいの蓄えが必要なのかといった、ライフプランシミュレーションをすることが、もっとも大切です。
悩んだときはファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみることをお勧めします。
志村 哲司
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー
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